るる

TENET テネットのるるのネタバレレビュー・内容・結末

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

以下、下書きに残ってた文章。

2020年10月21日、24日、11月17日、それぞれ違う映画館で三回観た。どうかしてると思うけど、ちょうど良い回数だったと思う。全部前のほうの座席で見ることになってしまったのはやや残念だったけど、流石に満足した。

DVD出たら買うかもしれない、少なくともNetflixで配信されたらお気に入りのシーンを何度もリピートするとは思う、サントラとアクションの音ハメ確認したい、ニールのスクショ撮って保存したい、吹き替えは絶対確認したいけど、

どう考えても辻褄が合ってない物語なので謎を解明する喜びには乏しく、そういう意味ではハマりきらなかったかな。。ロジック考えれば、脚本段階でこのルートは諦めて捨てて練り直すだろ、っていうツッコミが結構。やっぱりキャット周りがなあ。。

ただもう、コロナ禍中の2020年にこれを映画館という劇場で、マスクを着用しながら観れたこと、最高の体験だったし、公開を強行した理由もわかったので感慨深かった。冒頭しびれた。

話題作が公開されてSNSで話題になっているのを確認しつつ、身動き取れない状況下で鬱々とした期間を過ごして、一通り落ち着いたころに、えいやっと思い切って見に行く、ということが多いのだけれど、

緊急事態宣言以降、7月、都会の映画館での『もののけ姫』再上映、地元の映画館での『風の谷のナウシカ』再上映、8月、都会からさらに足を伸ばしてミニシアターでの『破壊の日』、9月、ふわふわしたコンディションで意地で観に行った都会のミニシアターでの『ブックスマート』、
その1ヶ月後の都会のシネコンでの鑑賞だったので、冒頭のアクションシーンには痺れた、久しぶりに大作映画を見ている、歓びに震えた。

GOTOキャンペーンが始まって世間の空気が緩んでいてビビってたけど、7月頃の、マスクをしていない集団が何組かたむろしている殺伐とした街の雰囲気を思い起こせば、人通りは増えたものの予防習慣が板についてきた様子も見えて、まだ余裕はあった、時間帯も関係しているかもしれないけど、そんなころだった。2021年2月の緊急事態宣言下になるとまた少し様相が変わっていた。

いろんな意味で景気が良い映画だなと思って、そこも良かった。飛行機爆破を実写でやってしまう気前の良さ、豪快さ、こだわり、迫力には笑ってしまったし、わざわざセーリングなんかさせる必要ないのに、やる、金持ちに最先端の娯楽を楽しませながら不穏な会話をさせる、
お金があった時代(もはや過去形である)を彷彿とさせる、余裕のある映画だと感じたし、Netflixではできない"遊び"だと思うし、こういう余裕を感じる映画、アフターコロナ、今後なかなか見られない予感がして、ノスタルジックな気持ちに。

新興国として注目されている国、世界的大作映画の醍醐味、エキゾチックの表現としてのインド、ベトナムにワクワクできた、しかしやっぱり、こういう"最先端の映画"にもう日本は登場しないであろう、という置いてきぼりの寂しさはよぎった。

一回目は松竹系の映画館で。音響がめちゃくちゃ良くてびっくりした。『破壊の日』と同じくらいの音圧では?と感動したんだけど、こっちの体調の問題かな、わりとぐずぐずの脳で見たんだよな。重低音に酔った、ドルビーでもないのに?とびっくりした。

で、わからん!わからん!わからん!でもかっこいい!かっこいいことはわかる、おもしろいことはわかる、しかしわからん!わからん!わからん!良い意味で興奮、アガッた。

その後サントラ聴きながらシーンの反芻して。パンフレットを見てもよくわからんというか、非公式情報に翻弄されたくないという気分になったな、ニール=キャットの息子説は知ってしまうと二度目の鑑賞以降、そうとしか見えなくなってしまった。

二回目は東宝系の映画館で、音響が物足りなくてアレ?と思っちゃってIMAXにすればよかったかなと。二回目はとにかくニールに釘付けだった、ロバート・パティンソンってあんなにカッコ良かったっけ、なんてチャーミングなんだ、ハリポタのときは実直で誠実なセドリックのイメージに合わない、ベイビーフェイスにピンとこなかったし、『トワイライト』シリーズには興味を持てなかったので、改めて、ハンサムに成長したねえと思いつつ、

ストーリーについてもろもろの答え合わせを。そして、あ、これは、べつに辻褄はあってないんだな、という納得を。

三回目は109系のIMAXで。音が割れてるような気がして最初の感動を超えず、ウーン。サントラ聴きに行ってるフシがあるぶん、ウーン。

しかしIMAXの縦に長いスクリーンの画角で観ると、エリザベス・デビッキの長身が画面に映えて、眼からウロコだった。IMAXにこだわるクリストファー・ノーラン、これは、ミューズを見つけたんじゃないか?とすら思った。見て良かった、比較できて良かったな。船のシーン、画面下のほうで渦巻く波の迫力を確認できたのも良かったと思う。

映画館の出入口がソーシャルディスタンスの関係で交通整理されていて、入口は赤、出口は青、と色分けされてたのが愉快だったし、帰りにトイレに寄ると、男は青、女は赤、通路が並んでいて男女がすれ違っていくもんだからいっそ感動したな 

身近に鑑賞した人間がいなかったので、公開当時、"一度目の観賞後に狐に摘まれた顔をする順行者相手に知ったかぶりする逆行者ごっこ"ができなかったのだけが心残り。


事前情報として、順行者と逆行者がいる、ということと、ニールという人物が逆行者であるということと、主人公の名前は「protagonist=主人公」という知識だけ入れて臨んだ。

それから、エリザベス・デビッキの長身に驚く声と、彼女が190センチ超えの女優だという解説と、ケネス・ブラナーが賛否両論という声と…そのへんでしんどくなってSNSを見るのをやめていた、祭りに乗り遅れると本当に鬱々としてしまうし、遡って考察を読みたくても探しようがないので、なるべく早く鑑賞したいのだけれど、なかなかな。。

protagonist、パンフレットでは「主人公」だし字幕では「主役」だし解説では「名もなき男」だし統一感がなくてやや戸惑ったかもしれない、事前情報と違うじゃんと。

初見時はとにかく編集を気にして見てしまった、『メメント』みたいな仕掛けがあるんじゃないかと気負ってしまった

冒頭の突入シーン、はたしてprotagonistは順行なのかこれは現在のエピソードなのか、観客を騙すためのプロローグ的描写じゃないのか、逆行している未来のエピソード、もしくは過去のエピソードなんじゃ、後半にこのくだりがリピートされるんじゃないか、
そうすると自殺ピルを飲んで目覚めた彼は順行? 本当に同一時系列の同一人物か?
誰が順行で誰が逆行なのか、同じ場所・同じ時間に三人いて会話しているように見えているけど、実際は時系列いじくって同じ場所で会話しているように見せてるだけなんじゃないか、カットバックがあると、これは順行者同士で会話しているのではなく、片方は逆行者だったりして、後半で明かされるのでは、

と深読みしすぎて、それが全部無駄だったと途中で気付いてやや拍子抜けしたな。ところどころ引っかかる編集だったんだけどな。
前半で順行のprotagonistと順行のプリヤと会話して、後半で逆行のprotagonistと順行のプリヤが会話して、ああこういうこともやるのね、こういうことを前半からやっていくのかと思ってたのにな、と。
シーンの繋がりを必要以上に穿ってしまう、映画編集を見慣れていないひとみたいな見方をしてしまったというか。コンディションが悪かったな。

冒頭、サントラもあいまってカッコいい、ワクワクする描写の連続だったな。劇場を標的としたテロ、破壊される楽器、最高のシチュエーションだったし、睡眠ガスで観客を眠らせる、ゾクゾクする描写だった、劇場で見られて良かった。

突入、合言葉で味方と確認、潜入捜査していた男を助け出し、眠っている観客に紛れ…アクションそのもの以上にシチュエーションに興奮するたちなので良かったな。
逆行弾、曲調の変化、あ、これが噂の逆再生、と読み取っていく余裕もあった。

しかし冒頭、見返すと、そもそもどういう任務だったのかよくわからないし、なぜ彼がこの時点で「黄昏に生きる」「宵に友なし」合言葉を知っていたのかよくわからないし、この時点でアルゴリズムを目にしていたくせに、後にカーチェイスの攻防で手に入れたプルトニウム=アルゴリズムを見て初見のようなリアクションをするあたり本当によくわからない、そもそも「アメリカ人を起こせ」と言われて突入準備にはいる、どういう組織に潜入していたの?

いきなり拷問に雪崩れ込むのもよくわからない、ロシア語の彼らは全員、セイターの配下ということでよかったんだろうか。
拷問の様子は列車越しに隠れて見えない、このへん、スパイ映画を意識したつくりだな、かっこよく作ってるな、楽しんでるな、とメタ視点で見てしまった。

時計を巻き戻す、逆行だ、と要素を拾えたのは楽しかった。

自殺ピルを飲んで、タイトルテロップ、いやあ痺れた。ワクワクできた。

目覚めると「ようこそ来世へ」『マトリックス』オマージュだ、スパイ、エージェントものだ、映画好きなんだなノーラン、今作はこの系譜でいくんだな、と拾えたのも良かったな。

しかしありゃどういう組織なんだか? セイターの配下による拷問から彼を救ったのがTENET=プリヤの部下たち=protagonistが創設した組織の人間ということでいいのか? それとも拷問〜自殺ピル=偽薬服用までが組織による忠誠心をはかるためのテストだったのか? 勧誘した彼はprotagonistが組織のボスだと知ってたのかな。もうわからんよ。

ジョン・デヴィッド・ワシントンの分厚い肩周りの筋肉に驚愕。『ブラック・クランズマン』より色気マシマシで感心したな。
梯子を使った懸垂訓練、どんな状況であっても習慣なのであろうトレーニングを実行する、protagonistの人柄、実直さを感じさせる演出なのかなと思ったけど、

懸垂=重力に反しようとする動き=逆行するという意味もあるのかな。後半、再び組織の船上で懸垂する、物語が折り返し地点を過ぎたことを示す、合わせ鏡の符牒でもあるのか。

研究室、サクサク進む会話に唖然。ここで朧げながらも世界の危機、敵についての説明が入る、漫画的なストーリーテリングだとも感じたのだけれど、エントロピーの減少、どう考えてもここでもうちょっと説明が必要だろう!?と。。
これくらいふわっといくんだね!?「頭で考えないで、感じて」オッケーわかった!そういう映画なんだな!と初見時はアドレナリン出まくり、興奮しっぱなしだったな。

あの手袋は、のちに出てくる「鉛の手袋が必要だ」「核か」という台詞から鑑みるに鉛の手袋ということでいいの? 核って鉛の手袋で被曝を防ぐもんなのか。無知を痛感。

"逆再生しているように見える"銃弾の動きがイマイチ魅力的に感じられなかったのがわりと致命的だったかもしれない。もっと奇妙に見えてほしかった。

それにしても逆再生ってなんなんだよな、映画=編集の産物であることを意識させられて、ウーン。いやそういう匂わせ自体は好きなんだけど。初見時はとにかく『メメント』並に編集にものを言わせた映画なのかと身構えてたぶん、これも伏線かと過剰に受け取ってしまったな。

未来から送られてきた謎の武器、あの膨大な引き出しの数、こんなにもたくさん、という静かな迫力があって良かったけど、

「送られてくる」日本語訳がよくないのか、後半と照らし合わせてもピンとこなかった。逆行してきた未来人によって"持ち込まれた"ってことだよね?

この女優さんどこかで見た、と思ってたら、ハリポタのフラー役のひとだった、セドリック役のロバート・パティンソンとは再共演と気付き、なんだか嬉しい気持ちに。

しかし、弾丸の製造地を調べればいい、こんな単純なことに気付かない、気付けないあたり、人材には乏しい組織なんだなとしみじみ。

ムンバイの街並み、足がつかぬように買ったばかりの携帯を使う、スパイ映画あるあるでよかったな。

ニールの登場、明らかに異質な、逆再生を思わせるサントラがかかった瞬間、彼が逆行者だとわかる演出、今後もサントラには注意しながら見よう、この異質なテーマがかかったら逆行シーンだ、と構える気持ちに。

二回目鑑賞時、「女や子供を犠牲にする?」と尋ねて、noと答えたprotagonistを見てちょっとだけ嬉しそうに笑ったニール、僕の知ってる彼だ、という確認だったのだろうか、ニール=キャットの息子説を裏付けたように感じて、ワクワクしたな…どうなんだろうな、実際。こればっかりは数年後でいいから製作側から種明かししてほしいぞ。

逆パラシュートで上空へ跳ぶ、二度目の鑑賞で、ああこれも逆再生なのか、と。こういう意味重ねは好き。

ジャケットを脱いでハーネスを着けた姿のデヴィッド・ワシントン、めちゃくちゃセクシーだったな。。

ちょっぴりくたびれて見えるスーツと髪を乱しながら作業するニールもめちゃくちゃ色気があって感動した。インテリジェンス。

ああいう必要な"準備"のシーンが地味に好きだ。本当にスパイもの、エージェントものをやりたいんだな、ほんとに映画好きだなノーラン、そのわりに真面目にやりすぎててちょっと鼻につくぞ、別にいいけど、という感慨も。

そして潜入、曲がいい、三度目見終わってサントラ聴き直すとニール登場からバンジー発射までは地続きなんだな?

ベランダ着地後、サントラ「FREE PORT」の冒頭をBGMにした潜入シーン、めちゃくちゃスムースでかっこよくて好き。ニールがサイレンサーの銃で一発撃つ、あの瞬間が本当にカッコよくてポストカードにしてほしい。ニール、ちょくちょくそういう瞬間があった、フォトジェニックだ、ロバート・パティンソン…

警備員に銃を突きつけて「冷めるぞ」というニール、めちゃくちゃカッコよく見えたし、

サンジェイ・シンのこめかみに銃を突きつけて手のひらを添えて標的と目が合わないようにするあたりprotagonistの人間味を感じられてよかった、
「お前は武器商人だ、この引き金は軽い」武器を扱いながら武器商人を憎む描写は大作映画の新しい定番なのかな、「スターウォーズ8」の武器商人批判にもしびれたけど。

黒幕はプリヤ、夫に功績を奪われる妻、ここ数年のトレンドだと思うので、夫を隠蓑にする妻、今っぽい設定と感じられたし、武器商人の大物、キーパーソンが女性なのは現代的なキャスティングだなと感じられたので良かった、ホイーラーの存在といい。

ただ、後半にいくにつれキャットの描写とともに全てがガタガタになって凡庸な描写になってくのでそれは、まあうん、後述するとして。

英国紳士から情報を得る、マイケル・ケインの特別出演、なんともな。「男の魅力で迫れと?」「まさか」現代的なやりとりで良かったけど、後半でキャットに女の魅力でセイターの引き留めをさせたあたり、監督のこと全く信頼ならねえし、ゆえに評価点にはならなかったな。

ブラックカードを渡して身だしなみを整えろ、定番のやりとりだけど…こういう描写を通してprotagonistの人柄をもうちょっと真剣に描いてほしかった気はするよな、けっこう庶民派、任務がなければおそらくそれなりにユーモアある男、匂わされてはいたものの。ジョン・デヴィッド・ワシントンの無駄使いな気もした。

ゴヤ、と聞いてすぐ『我が子を喰らうサトゥルヌス』を連想して、意味するところはなんとなくわかるよ、と思っていたら、のちに「祖父殺しのパラドクス」という単語が出てきて、なるほど世代間の殺し合いなんだなと。

しかし、未来では環境問題等で世界が行き詰まり、未来人たちは古き良き時代、過去に逆行しようとしている、そこまでは理解できる、納得できる、そういうことはあるだろうなと想像できたし共感できたけど、

未来では順行者と逆行者によって地球のリソースを奪い合う戦争が起きている、ってちょっと想像を絶する事態だよな、どういう状態なんだろう、

未来人はある時点まで逆行して、順行に転じて順行者に紛れて生活して、ゼロ地点まできたらまた逆行して…を繰り返す、そんな生き方はそりゃできないとして、
順行者と戦争に発展するってどう…それにしては自分が自分を殺したらどうなるかなどのデータが少ないというか、掴みきれなくて、
そこにセイターやプリヤや未来のprotagonistがどう関わってるのか全然想像がつかなくて、うーん、もうちょい材料が欲しかった気持ち。。

キャットとの出会い、台詞で語られる息子への想い、セイターとの暮らし、モラハラ、DV…しかし見返りとして彼女が得ている生活がリッチすぎて、いまいち悲壮感が伝わってこない、同情しにくいつくりで、もったいなかったな、夫に搾取される女について描くならもっと真面目にやれとは思った、あんなフワッとした設定の役をよく演じたなと思う、エリザベス・デビッキ。

パンフレットでエリザベス・デビッキが、キャットは頭の良い女性で、と解説している、けれども作中では全くそんなふうな役どころとしては扱われていない、そういうふうに表現できる芽はあるのに、現代のトレンド的にはそういうふうに表現すべきなのに、監督にそういうふうに表現する気がない、
女優だけが自分の役を、「古臭くてありきたりなヒロインポジションに押し込められそうな女」を古臭さから救おうとしているという構図、20年くらい前のパンフレットを読んでいる気分だった、

20年くらい前に女優が自分の役について「彼女はとても知性的なの」と語っているのを読んで「この女優は一体なにを言ってんだ…自分の役の良いところを探そうと必死な感じが辛いな…」と感じていた少女時代を思い出して辛かった、
彼女たちは抗っていたんだ、当時は気付けなかった、いまは気付けるようになったので砂を噛む思い。
『デブラ・ウィンガーを探して』を見てから、女優がいかに現場で奮闘しているか想像できるようになったので…製作陣は猛省してほしいよ、あんなガバガバな脚本があるかよ。

ボディーガードを返り討ち、音楽もあいまって、待ってました!なアクションだったけど、protagonistの感情が見えそうで見えなくてもったいない…怒りを感じるサントラ、キャットのために、彼女の境遇に同情したイラつきを敵にぶつける、という動機をもうちょっと感じたかった気がするけど、ありがちな男女のロマンスに見えないように描写を控えたんだろうなという気もして、うーん。無機質さが良さではあるが。

無傷で現れたprotagonistを確認して慌てて車を出す、まあ陳腐な描写だったけれども、キャットが彼を信用する理由を作らなきゃいけないし、あの展開しかないわな…

学校の前で息子に必死で話しかけるキャット、息子から引き離されようとしている、って設定が繊細すぎて伝わりにくくて難しいし、息子の受け答えが描写されないぶん、実際のところの母子関係が読み取れなくて、見方が難しいよな。

息子=ニールならアリだけど、そうでないなら子役が下手だから台詞を喋らせたくないとかいう事情がない限り、意味不明な描写・演出だったと思う。脚本として変だよ絶対。
苦境を語ったキャットの台詞を裏付けるためにも、息子が喋ろうとしたところでセイター配下のスタッフが車に乗せてしまう、とか引き離されようとしている"描写"をすべきだったでしょ絶対に。

電話が鳴って姿を現すprotagonist、定番の描写だけど、まあかっこいいから良い。

キャットによるフリーポートの解説、同時進行でニールの潜入捜査、初見時、すんなり見れなかったな、どの場面が過去で現在で未来?と変な深読みをしてしまった、コンディションが悪かった。

フリーポートの案内人さん、ザ・アメリカ人セールスマンの顔だ、と感じてしまった、人形みたいにくりっとした目、ニッコリ笑った口元、白い歯、人好きするお顔だよな…
フリーポート内を見て回るニール、撫で付けられたオールバックがめちゃくちゃカッコ良い、惚れ惚れしてしまった。

作戦相談シーンは映画製作の裏側そのまま、監督とスタッフの会話を見るようでニヤニヤしちゃった。

そして作戦開始、いやはや景気が良かった、しかし金塊をひとつくすねた男、彼は、なに…? のちに船上で金塊ネコババがバレてセイターに殴られていた人物とは、別人だったよね? 同一人物だった? 同一人物だとしたらセイター側の人間があの時点で計画に紛れ込んでいたってこと? 別人だとしたら、なに? 混乱したな。見直してもよくわからない、まだ混乱している。

「ヨガだ」最高だったな、チャーミング…あの笑顔ったら。

SNSで「なぜわざわざエスプレッソを持ちこんだのか論争」を見かけたけど、液体表面の振動具合を見て外の計画の進行状況を判断する、よくある小道具なのでは? なぜ取り沙汰されてるのか、よくわからんかったな。

緊急事態に客を置いて慌てて逃げ出す職員、キャラクター性が抜群でよかったし、冷静に絵画を回収して鍵を開けるふたり、よかった、閉じ込められかけて慌てて走るニール、良かったな。。

このニールによる鍵開けのアシスト描写はクライマックスの鍵開けに繋がる、なるほどな?

「誰かいる」あの静けさ、緊張感、めちゃくちゃよかった。

「開けようか?」粋でよかったな。

回転ドアから飛び出してくるふたりの男、二度目見終わって冷静に整理して一応理解はできた。

逆行者とのアクション、あんまり魅力的に見えなかったのがもったいないよな…よくわからない、いまいちカタルシスに欠けるアクションの尺が、結構長い、という。床を背面で進む動き、あれは逆再生しようが順再生しようが奇妙な動きなのではないかとか。挑戦的というかなんというかな。やりたかったんだな、というか。

マスクが外れた謎の男を見て、見逃すニール、初見でも逆行のprotagonistだったんだろうな、と想像はついたけど、ニールはどこまで"シナリオ"を把握してあの時間軸にいたんだろうな? あのニールはキエフでprotagonistを救った上で順行しているニールなのか、それすらよくわからない。

外の爆風に吸い込まれていく謎の男、奇妙な絵で良かったけど、奇妙すぎたよな。

金庫室に戻り、気絶したフリをする、そんなバカな。

任務終わりの会話、ニールとの距離感が縮まってるのか縮まってないのか、よくわからない描写でウーン。しかし、物理学は修士、めちゃくちゃ似合うな、ニール役が彼でマジで良かった。

二回目鑑賞以降、ニール=キャットの息子説を踏まえると、protagonistはあの少年=ニールが青年に成長して、物理学の道に進むのを見守っていたのかな、キャット母子との交流を持つうちに彼を仲間にせざるを得ない瞬間がどこかで来たのかな、と余白を埋めようと思考が走ったんだけど、
逆行するとその時間分、加齢することを考えると、計算が合わなくない? キャットの息子が成長して、逆行してニールの年齢になると考えると逆行を始めた年齢は…情報が少なすぎてうーん。

年に数回、フリーポートへ足を運んで逆行していたであろうセイター、どういう加齢の仕方をして、どんなふうにキャットと関わってたんだろう、全然わからない、想像がつかない、

絵画は無事、大掛かりな計画は全て無意味だった、こういう徒労感苦手だ、展開のための展開、物語の進行と問題解決が連動してない脚本、納得がいかない、

キャットと再会、ボートを操るprotagonist、ボディガードを挑発、やっぱり彼、俺たちが大好きな、女には優しいイマドキの陽気なブラザーだよな…あの笑顔をもっと見たかった気がするんだよな。

船上でのやりとり、まあ緊張感があってよかったけど…

翌日、セーリング。足跡がない武器商人なんていない、そりゃそうだろうな。ところでなにがどうなってprotagonistは武器商人としてセイターに近付くことになったんだっけ?

命綱を切り、海へ突き落とす、この時点ですんごいことをやってのけてるよな、キャット。

扉越しに早く来いと催促されて「パンツで?」と尋ねたprotagonist、ボディガードはキャットが彼の部屋の中にいることに気付いてたんだろうか、protagonistはキャットとの不倫関係をあえて匂わせたのか、特にそんなつもりはなかったのかどっちだったんだろう、前者なら良い性格してるし、後者ならユーモアだけど、ちょっとわかりにくい描写だった、人物描写がヘタクソだよな、ノーラン、ホントに。

暴走したキャットから命を救ってやったことで武器商人セイターの信頼を得る、なんだかやっぱり成り行き任せ、行き当たりばったりすぎるというか、奇妙な計画だよな? 

枕を投げつけられたときのキャットの反応、日常的に行われている暴力に怯える、という感じに乏しくてうーん。

ベルトを鞭みたいにして拷問するのかと思いきや描写は避けたのは、現代の年齢制限なしの映画として正解かなと思うんだけど、にしたってモラハラ、DVの描写として弱く感じたんだよな、
キャットは情感たっぷりに語るけど…いまいちその苦境が伝わってこなくてとにかくもったいなかった。

セイターのもとへ運ばれた金塊、覗き見、あれどういう意味の描写なの…空港の金塊とはまた別?同じ?初見時は武器商人としてセイターに近付きプルトニウムを強奪する仕事を引き受けた、取引内容がよくわからないまま見てたんだけど、何度見ても、なんでここでこういう取引をすることになったのかよくわからない。

妻に武器を見せて脅すセイター、寝室での暴力が寸止めだったせいで、タガが外れていく描写が迫ってこなくて、うーん。なんなんだマジで。

今度の作戦はニールではなくprotagonist主導、それはいいんだけど、ニールの神出鬼没っぷりが気になってくる、protagonistがセイターの船上にいる間、ニールはなにしてたんだろうな、組織への報告かな。

車両に乗って無線を使うニール、各車にタイミングを指示、めちゃくちゃカッコよくて良かったな。。

作戦開始、サントラが良い、ワクワクできる。

しかし、こんなアナログな方法で?目立つし、絶対記録に残るだろ、と眉をひそめてしまう気持ちと、アナログの良さにワクワクする気持ちと。運転しながらチラチラ様子を伺うニール、細やかな描写で良かったな。ニールはどの程度展開を知ってたんだ。

逆行者とのカーチェイス、もうよくわからない。撮影の快楽は感じたが。楽しみ方がメタになってしまうのはどうなんだ。

逆行したセイターが人質にとっていたキャットは順行…?
プルトニウムの受け渡し、行方、もう全然わからない。
足を伸ばしてカーロックを解除したエリザベス・デビッキ、足が長すぎて混乱する。

車を降りて、普通の銃撃戦に、現実に軟着陸する感じ、あの生っぽさが良かった。

マシンでの尋問シーン、もうこればっかりは本当に何度見てもよくわからない。理屈はわかるがわからない。

嘘は我々の常套手段、と聞いたニールの反応もよくわからない。未来で聞いた惹句なのか、プリヤから聞いた言葉なのか。

しかし結局嘘ではなかった? アルゴリズムの在処はBMWではない?なんなんだもう。

どうなってるんだよ、あのペラッペラな呼吸器の仕組みは?という疑問はありつつ、マスクを着けて地上へ、コロナ禍中に見る映画として最高にワクワクできた。逆行する鳥の奇妙さ、水溜り、船、醍醐味だったが。やめとけと忠告された車の運転を早速、とにかく仕組みが…体感の想像がつかなくてよくわからない。

GPSをつけてプルトニウムの行方を追う、あの時点で回収…するわけにはいかなかったのか、そうか。わかるようなわからないような。

結局アルゴリズムは敵の手に。話としては主人公が関わることでなんの変化も生じていない、なにも防げていなくて、納得いかない。

船に揺られて逆行する旅。コロナ禍で見慣れた頼りない透明ビニール。あの空間の空気はどうやって精製・供給してるんだ。三人の一週間の生活模様を詳しく教えてほしい。ニール=キャットの息子説が本当ならなかなか感慨深いシーンだけど、そうでないなら、キャットが気の毒すぎるなとも。

飛行場へ。車の運転はニールたち自ら? 他の仲間たちの動向ももう少し見せて欲しかったよ。

種明かし。自分自身との戦い。醍醐味ではあるけれど。このあとどうなるんだっけ、と思考は走り。銃を手にするために床をわきわきと動く、あれやっぱり変なのでは。キャットを載せたストレッチャーと共に待機していたニール、え、どういうこと。あ、そうか、順行のprotagonistが外に出るのを待ってから順行に、わかるようでわからない。

作戦成功して握手するふたり、仲良くなったのか、なってないのか、protagonistの流される感じが良いような悪いような。

嘘は我々の常套手段、プリヤの口から改めて。ニールとどんなやりとりしてたんだろうか。
アルゴリズムを盗み出してとられる役目、ほかに方法はなかったのか本当に?
ここにきて新たに小出しにされる情報。音楽のパワーで緊張感は保たれてるが、ガバガバだなと思う。

傷の具合を問われて腹を見せるキャット、終盤に絡むとはいえ、迂闊な気も。

キャットがセイターをもう一度愛そうと思い、やり直せるかもと思ったと情感たっぷりに語られていた瞬間がたった十日前の出来事だったと判明する、マジかよ?
セイターが死ぬならこの時がいいと定める人生最高の瞬間がたった十日前のベトナム、キャットの苦悩に満ちた身の上話が全部陳腐なものになるし、どうにかならんかったのか。

日付を正確に把握してるニール、キエフに逆行してprotagonistを救ったあとだからなのか、キャットの息子本人だからなのか。

息子に争う姿を見せたくないというキャット、最後じゃないと否定するprotagonist、意味深だけど…?

船での別れ。ニールとの最後の挨拶をしそこねたというキャット、どう、うーん。ニール=息子じゃないならいよいよ意味わからんのよな。あれは親愛のキスなのかなんなのか?

アイブスはどういうつもり?とも思うし。

最後の集団戦については逆行アクションのバリエーションのひとつというか。あまり惹かれず。あの乱戦を予期して地雷を仕込んどくってどういう相手なんだ。

アナ…セイターとキャットを取り巻く他の女の存在についてもう少し知りたかった気もする。海に飛び込んだ憧れの女は未来の自分自身だった、甘美な種明かし、それは良いんだけど、やっぱり無理があったような。二週間…二週間の物語なんだよな。

地底にて、あのいけすかないボディガードと対峙、醍醐味ではある…

しかし、セイター=悪魔もしくは神との問答、急に会話が陳腐! なんなんだ。あの場面でアイブスがおとなしくなるのもよくわからない。

背中に日焼け止めを塗られて銃を突きつけられるセイター、キャットの腹の傷を見てようやく状況を知る、なんとまあ陳腐な、の連続で。デッキを滑らせて突き落とす、笑っちゃうような結末、それはいいんだけど、

キャットの衝動的で軽率な行動が計画を破綻させかねなかった、うまくいったのはたまたま、という塩梅がよくないよなって。勇敢に見えるが自分勝手なヒロインがまたひとり誕生しただけで、うーん。20年前の質感なんだよ。

アイブスはどこまで知っていたのか。どこまでが任務だったのか。

ニールとの別れ、眩しいものを見る目で恩人を、劇場で助けてくれたのはニールだった、全てを悟るprotagonist、胸に迫るものがあったが、誤魔化されている気も。これは素晴らしい友情の終わり、俺にとっては始まり、美しい中間点、醍醐味なんだけど! もやつく。

遠くから見ることもダメだと言った舌の根も乾かぬうちに約束通りキャットを守りにいくprotagonist、加齢してないということはそう遠くない未来、キャットは念のためにあんな記録を何度も残しているのではないのか、そのたびに見守っていたのだろうか、どうなってるんだ。プリヤを殺して任務完了…そうなのか?

もうわからん、とにかくわからん。でもそれでいいんだと思う、満足感はあるからかまわない。そういう映画もある。。

初見時、冒頭サントラを一聴して、いつも通りハンス・ジマーかと思ったが、ニール登場時の逆再生を聞いてどうも違うな、と。思っていたら、エンディングがトラヴィス・スコットで、おお、と。『ブラックパンサー 』のルドウィッグ・グランソンが手掛けたと知り、いろいろ納得。バランスを取ろうとした布陣と感じた。バランスが取れていたかどうかはともかく。

エンディングの『The PLAN』逆再生に聞こえる歪んだトラック、歌詞がprotagonistと聞こえて面白かったな。。サントラが良いと嬉しい。

そんなこんな。
るる

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