Kachi

湯を沸かすほどの熱い愛のKachiのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
4.8
【今まで観た邦画の頂点…?】

ずっと観るのを先延ばしにしていた本作。複数の友人が絶賛していたことから、期待値を上げ過ぎないようにしていたが、本当に良い映画だった。

宮沢りえ演じる余命幾許の幸野双葉が、若くして終活を行うというストーリーなのだが、一度も好きだとか「愛」だとかそういう言葉を使うことなく、自分を取り巻く他者への愛に満ち溢れていた。

ダメ夫を連れ戻し、その連れ子を家族に迎え入れ、ヒッチハイク中の世迷い人に道を示し、「娘」には困難に立ち向かう強さを教えた。去り際の美というのがあるとすれば、これほど潔い旅立ちの準備はないとさえ思える。

良い映画は、たくさんレビューを書くと野暮ったくなるとはまさにこのことで、これ以上は胸の内にしまい、しばらく感傷に浸りたい。

※オダギリジョーが現在の朝ドラ「カムカムエブリバディ」に出演して、同じく出来の悪い夫を演じている。冒頭の双葉が務めるパン屋で、双葉は「サッチモ」と呼ばれているがこれは単なる偶然か?
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