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湯を沸かすほどの熱い愛のmanpatiのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
4.4
不幸を背景にしたお涙頂戴ストーリーは好きでない。正直言うと、かなり序盤でなぜ借りたんだっけと困惑した。なにしろ湯を沸かす前に不幸がどんどん湧いてきて全方位不幸みたいな感じがしたからだ。

だいたい「幸の湯」って名前もよくないんじゃねえかな。幸子って名前だと不幸になりやすいとか言うし。と思って調べたら舞台になった栃木県にも同名の銭湯があった。申し訳ない。(私は県内全ての銭湯に通った銭湯好きです。全ての銭湯の幸せを願います。)

とまあ不幸は不幸なんだけども、それと向き合うというのがテーマなのかなと。
宮沢りえ演じる双葉さんは不幸に向き合うし、なんなら他の人にも向き合う事を強要する。でもそれは他者に対する強い愛があるからできる行動だと思った。
だからこそ絆が生まれたり、周りの人も強くなったり、なにがしかの化学反応が起こる。そこはちょっとオズの魔法使いみたいに感じた。オズ映画と呼んでもいい。いや、よくないか。

浮浪雲という漫画の中で「貧乏は毒にも薬にもなりやす。精進しなせえ。」という一番好きなセリフを鑑賞中に思い出していた。
貧乏を不幸に置き換え、不幸な出来事が毒にならないよう立ち向かう姿勢がかっこいいと思った。


そしてこの映画自体も、アカデミー賞の時に二宮和也に『湯を沸かすほどの熱い夏』と言い間違えられる禍いにあいつつ、それがきっかけで「浅田家」の制作に結びつくという化学反応を起こすことになる。
そうだ、それで興味もって観たんだった。
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