空海花

湯を沸かすほどの熱い愛の空海花のレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
3.3
これは、なかなか私には評価が難しいです。
一言で言うと、観終わった後すっごくもやもやしました。


高評価ながら観ていなかった作品。
邦画の難病ものはつい一歩引いてしまう。
アマプラで無料配信が終わりそうだったので
意を決して鑑賞。

いや、なかなかちゃんとしている映画だと思った。
家族と周囲の人とのエピソードを丁寧に描き
緩急や振り分けは多少の難はあるものの
演出もしっかりしていると思う。
宮沢りえと杉咲花の演技は素晴らしかった。
特にやはり杉咲花は一際光っていた。
小声なのに印象深い声。

宮沢りえの母親像は
「湯を沸かすほど」愛の強い人。
確かに、え?という部分もあるが
完璧な人間なんて居ないし面白みもない訳で
全力で生きてりゃ色々あるよ。
宮沢りえの雰囲気もあり、許せてしまう範囲である。
不器用ながらも強い愛で家族を包もうとする母親像。
いじめを自力で克服する娘
悲しみを乗り越える妹
ピラミッドの発想の転換を図る夫
それは涙腺は緩む。

でも、何というか、猛烈なフィクション感が
胸の底に残る。
ファンタジーと捉えればよいかというとそれも違和感がある。ホラーというのも全然違う。
あえて言わせていただくと、
物語の必然性。と呼ばせていただく。


いじめや不登校、確かに最終的には
自分の力で乗り越えるしかない。
助けはあった方が良いが、親の助けを借りずに乗り越える子も、居る。
いじめに限らず、人生の困難は子供でも大人でも訪れる。
親はいつまでも子供を守ることはできない。
順当にいけば、親の方が早く死んでしまう。
親は、まだ子が子供であるなら、生き抜く力を育んであげてほしいと思う。
だから母親が難病なのだろうか…
それがない方が伝わるような気がするのだが。
あと出て来る教師には苛立ちMAX。
察しろ、と。出て来る言葉それ?(暴言失礼)

あの旅はなぜ夫を連れて行かなかったのだろう。
夫との関係は彼女にとって、これで良かったのだろうか。
母親もあんな感じで…

衝撃の結末と予告されていたラスト
彼女はそれを望んだのだろうか。
家族はそれを望んだのだろうか。
本当に?

わからないでもないんだけれど
こう考えてしまっている時点で
自分の中ではハマっていないということだ。

心情の描き方が何だか物足りない。
こんなに役者が熱演しているのに。
でも熱演と描き方は別物であって
何か違和感があるのだ…
そうかなー?そうなのかなー?と
正直エンディング曲も合わない…


もうこれは自分のせいなのかもと
映画を観て、久々に落ち込みました。
でも心情とストーリーはもう少し練ってほしかったところです。


2020自宅鑑賞No.11/total80
空海花

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