emily

クズとブスとゲスのemilyのレビュー・感想・評価

クズとブスとゲス(2014年製作の映画)
3.5
監督自らが主役を務め、女の裸の写真をネタに金儲けしているスキンヘッドは、手にかけた女がヤクザの下で働く商売女で、逆に200万要求される。一方麻薬の売人から足をあらうも、なかなか仕事がみつからず、彼女の誕生日も祝ってやれないリーゼント。社会適合力ゼロの人たちが織りなす群集劇。

 それはどこかに居そうな人種であるが、目を合わせたくない人たちである。店の中に居れば極力関わりたくないと思ってしまう人たちである。それぞれの日常を紡ぎあげる中で、少しずつ交わり、人間臭さがありながらそこにはお互いを思いやる気持ちは一切ない。痛みを伴う直接的な描写も多く、特に鼻ピアスの下りや、ナイフが首に食い込んでいく際の、描写のリアリティは鬼気迫る物がある。どうしようもない行き場のなさを暴力で表現し、十分すぎるほど大人になってしまった彼らだが、心はピュアなままである。

 誰よりもまっすぐで、自分に正直で、確かにやってる事はゲスだが、自分としっかり向き合ってるように思える。自分に全く嘘をついていないように思える。こんな風に生きられたらどんなにいいだろう。しかし生きるってこうゆうことだろうと思う。命がけで生きている。ゲスだが、確かに生きている。その生を暴力的に描き、残る物は命かけてない観客に対しての問いではないか?生きるって息することじゃないし、当たり前の事ではないんだと。荒々しくもストレートに飛び込んでくるメッセージにノックアウトされる。
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