広島カップ

パッセンジャーの広島カップのレビュー・感想・評価

パッセンジャー(2016年製作の映画)
3.3
5000人の人達が地球から他の星へ移住するために宇宙船に乗り込みます。
一流ホテル並の素晴らしいプールや豪華バーを備え、全自動床掃除機や食事サーバーが揃う快適な未来の移住船が舞台です。

羽田から奄美大島までは約120分のフライトで一眠りできますが、本船は地球から目的の星まで120年かかるので、専用ポッドでグッスリ眠って快適な空(宙)の旅です。

奄美大島に行く人であまり眠くない人は30分で起きちゃっても新聞でも読んでいれば問題ありませんが、本船航行中30年で無理矢理起こされた客はあと90年も何をしていたらよいのでしょうか?
そんなことが起きてしまう欠陥オンボロ宇宙船を壮大なスケールで描く話でした。

何しろ乗客やクルーも間違って起こされた客(クリス・プラット)一人以外は皆グ~スカ寝ているので彼一人が豪華な設備を使い放題です。
シメシメ得したぜ!と思う訳もなく「なんで俺だけ?」と悔し涙を流しながらも一年だけは孤独感に一人耐えて頑張った彼でしたが、あと89年もさすがに堪えきれずにやってはいけないことに手を出してしまいます。

本作で一番感心したのが彼の一年に渡るボッチ感です。
手の届くすぐそこにはグ~スカ眠りながら快適に宙の旅を続ける4999人の人達が居るのに自分一人だけが孤独な死の宣告を受けているという地獄のようなボッチ感が身に染みました。
おそらくその一年の間に己の人生、生きてきた意味などをとことん突き詰めて考えたことでしょう。
惜しむらくは彼の乗船前のヒストリーが語られていたらもっと奥の深い話になっていた気がします。

※無重力状況下でプールってあんなふうになってしまうの?なんか違う気がします。
物理に強い方の意見が聞いてみたい。
広島カップ

広島カップ