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ノーザン・ソウルのhoteltokyoのレビュー・感想・評価

ノーザン・ソウル(2014年製作の映画)
4.0
1970年代のイギリス北部が舞台。主人公のジョンは詩を書く趣味を持つ内気な高校生。校内ではいじめられ、家では父や母からのプレッシャーに悩んでいた。そんな中、ユースクラブでソウルミュージックに合わせて激しく踊る奇妙な青年と出会う。この出会いこそが、ジョンの悶々とした生活を打破し、後にイギリス北部で圧倒的なムーブメントとなる「ノーザン・ソウル」の波にもまれていくことになるのであった・・的な物語。

誰も所持していない超レア盤に針を落として、大音量でダンスフロアに投下する。客はまだ見ぬアップテンポなソウルの名曲を求めてフロアに押し寄せるようになる。そしてこれが「ノーザン・ソウル」というイギリス北部のムーブメントを生み出すことになる。

DJによってはスカでもありソウルでもある、白人ロックもあれば警戒なモッズなど、アップテンポでつま先から脳天までツーンと突き抜けるような曲を一晩中かけて踊り狂う。現代の”ネットで購入した音源をPCに入れてクラブやカフェで流す”とはわけが違う。そのレコードがないとその場で音楽が流せないのだ。ましてや海賊版ではノイズでは音力がなくクラブでは耐えられない。つまり原盤こそが絶対正義なのであった。DJはそんなレア盤求めて旅をする。ストリーミングが主流となった現在では、半ば僕らが忘れかけていたあの情熱が、当時どれだけ熱かったかが描かれている。

2人の青年の青春劇を軸として、このノーザン・ソウル運動が描かれているが、ファットボーイ・スリムや2many DJsなどが当時の曲を拾ってきてはマッシュアップに組み込んだり、ファレルの「ハッピー」のように楽曲的な影響を受けているものもあったり、近年でも様々なアーティストがノーザン・ソウルの流れを組んでいることに、改めてカルチャーというのは生き物だということを深く知らされる本作なのであった。そしてもちろんジョンとマットの成長劇も文句なし。
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