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The Girl and Her Trustのzhenli13のレビュー・感想・評価

The Girl and Her Trust(1912年製作の映画)
4.0
平行描写とクロスカッティングが完成された資料として見た。
もうすでに固定フルショットのワンシーンワンカットではなく、アクションつなぎのなめらかさとかなり短いカット割りに見入ってしまう。会話や動作のクロスカッティングが成立することでミディアムやアップのショットが可能となり、豊かな緊張が生まれている。ブラックやクロスフェードなどのエフェクトを挟まず別の場のカットをパッと入れてくる。平行描写される場や人物が複数あるにも関わらず、何がどこに位置しているのかが明確でキレの良さが際立つ。
鍵穴に弾丸を詰めるシチュエーションはさすがにツッコミどころではあるが、扉のこちらとあちらのアクションつなぎは非常に自然。機関車の移動撮影のスピード感が半端ない。ラストの去り方も好い。

観客も「映画の文法」に慣れてきた時代とのこと。『ドリーの冒険』から4年という短い期間で映画の表現は飛躍的に進化している。それは作り手だけでなく観客との相互関係によるもので、ときには観客の「成長」を待つこともあるのだろう。映画だけでなくすべての表現活動に言えることだろう。
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