クリエイターとプロデューサー、これがテーマだ。ゆえに面白い。
天才的芸術家には得てして規範意識が不要でもあり、世間になじまないところもある。
また、突出した才能ゆえに、世間の先を行き過ぎ、売れないこともある。
そこで世間と芸術家とを繋ぐ者として活躍するのがプロデューサーだ。
ここでは編集者、ヘミングウェイやフィッツジェラルドを世に出したパーキンスがそれだ。
編集者と作家の共同作業も丁寧に描かれ、その家族的な関係も、見せてくれる。
夏目漱石には岩波茂雄がいたが、『山月記』の李徴にはいなかった存在、才能を見抜いて世間に売り出す存在を描いた面白い作品だった。
原題が「天才」というのも面白い。