シャンタル・アンネ・アケルマン。
アケルマンがニューヨークへ移民後、自らの部屋をぐるりで撮った作品である。
決して広いとは言えない部屋であるが、ライティングビューローやマホガニーの曲面が美しいキャビネット、質素だが座り心地の良さそうな赤いビロード張りのチェア等、調度品のセンスの良さが光る。
ベッドに横になるのは若き日のアケルマン自身であるが、─控え目に言って可愛い。
しかし林檎は、その儘齧ると歯が痛くならないかと心配してしまう。
劇伴も台詞も無い、僅か11分のショートフィルムであるが、静物画の中に一点、動きの有る物(人)を取り込んだ様な作品である。
実験作品の感が強いが、静謐で上質な空間を楽しめた為、この評価とする。