とみやま

ディストラクション・ベイビーズのとみやまのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

柳楽さんの「見るもの全て半殺しマシーン」っぷりがすごい。ほとんど喋らなくて、人を襲い続ける姿だけで、狂気の振り切れ方に納得させられてしまう。襲った相手に返り討ちにあった後、路上でふらふらしながら、ふぅー、俺って生きてるわぁ…と悦に浸ってニヤッとするところとか、本当に心から気持ちよさそうで良い。この映画といい、「浅草キッド」といい、演技うま男すぎる…と見入っちゃった。

あと、菅田さんのキャンキャン吠える犬っぷりが良かった。無駄に威勢のいい感じがめっちゃ良い。ポップな感覚で「死ね」とか「殺す」と叫んで暴力を振るって、後戻りできなくなる様はすごく怖い。自分の振るった暴力にどんな代償が来るのかわかっていない恐ろしさ。中盤、スマホで撮りながら、女子中学生?高校生?に暴力を振るうところは、キツすぎて見てられなかった。

マチズモ的な価値観が町の常識になっているのが凄いイヤーな気持ちになる。最後の祭りがその最たる例で、だけど、こういった暴力性が常態化しているコミュニティは確実にあるよね、と腑に落ちる。殺意関係ない暴力で自分の優位性を主張する風景は、地元でよく見たな…と思った。

それと、喧嘩のシーンで人を殴るときの音。パンッ!とかパスッ!、と肉体を叩きつける音が妙に生々しくて、余計に暴力が痛々しく感じる。
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