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かごの中の瞳のtmcてむしーのレビュー・感想・評価

かごの中の瞳(2016年製作の映画)
3.4
思ってたのと違ったの

ストーリー
幼少期の事故により、両親と視力を失ったジーナ。そのジーナを献身的に支えてきた夫のジェームズ。
ある日、ジーナは角膜移植に手術により右目の視力を取り戻す。

視力を取り戻す前のジーナは、地味で大人しい女性でしたが
視力を取り戻した後は派手で強気な女性へと変わっていきます。
それは、ジーナが自分を取り戻して花開いていくようにも見えます。
一方ジェームズはその姿に嫉妬し、自分や自分が今まで与えたものが落胆の対象であることを感じ取り焦っていきます。
2人は子供を欲しがっていますが、ジェームズ原因で不妊であることも「全てを与えたい」ジェームズにとっては重たいものだったと思います。

ジェームズのジーナへの愛は、最初こそ相手を思って…という感じがしますが
物語が展開していくと所有欲の塊に見えてきて、トドメの「これでいいんだ」のセリフでゾクっときます。
自分が落胆される対象なのも、ジーナが自分が苦手な人間に影響されて知らない人のようになってしまうのも、それに“対処”するところも…
今まで尽くしてきたのはそういう心の裏返しなの?!と、ジェームズへの印象がジワジワ変わってきます。
でもまあ、ジェームズに共感する人も全然普通にいそう。

全体的に説明不足というか、こちらが推測するシーンが多い映画なので
みる人によって受け取り方が大きく異なりそうだなあと思います。
ラストスパートで全てが明かされていくあたりも、事実のみが語られていくだけで、本人たちの心情の描写は少なめです。
最初から割と暗めの映画で、視力を取り戻したあたりの描写もどことなく不穏な雰囲気なんですが
本当にラスト、最後の最後だけ、ジーナの幸せな顔が見られてよかったです。