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セトウツミのemilyのレビュー・感想・評価

セトウツミ(2016年製作の映画)
3.5
塾通いしているクールな内海とサッカー部を辞めた陽気な瀬戸は空いた時間にシニカルな会話劇を繰り広げる。

この二人だから出せる空気感。菅田将暉×池松壮亮 滲み出てる性格がそのまま会話に溶け込み、噛み合ってないようでびっしり噛み合う。真逆の二人だからこそお互い知らない発見と予想できない会話の方向性がどんどん変わり、ボケツッコミが心地よい。会話の返しの速さと絶妙の間から繰り広げられる予想できない話の展開。その緩さが心地よい。時折大道芸人のピエロが挿入され、陽気な単語で章を締めくくって行く。自然な会話の流れでありながらまるで大道芸をみてるようなしっかり観客には演劇になってる。

会話は日常のなんでもない話。しかしそんななんでもない話も話す人と、それを受け取る人が変わると全く別の展開をみせてくれる。なにもなくても二人がいれば会話が構成される。会話から自分を知り相手を知り、会話で癒され、しかし観客には皮肉なタッチでみせてくれる。それぞれの性格が声のトーンや何気ない仕草によく出ていて、樫村さんを始めとる周りの人たちの何気ない絡みもなんでもないけど、そんななんでもない時間を共有でき、それが気がついたら二人とも生活の一部になっている。青春の呆気なさと同様カラッと描かれていて、テンポも尺もちょうどよく、さらっと楽しめる。
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