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ノクターナル・アニマルズのあのネタバレレビュー・内容・結末

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

配給 ビターズエンド、パルコ
シネスコ
字幕 松浦美奈

初シネリーブル神戸アネックス!
(人数のわりに会場が広すぎて落ち着かない、椅子があまり好きじゃないので できたらこれから通常のスクリーンで観たい)

いやもうトムフォードやばい(これ以上の褒め言葉が見つからない
シングルマン観てないんだけど
すごい、すごすぎる、なんなの
もう監督1本でいったほうがいいしもっと撮ってください
これの前にハシゴして1本目に観た映画すごく好きだったけど その印象が薄れるくらいによかった
強烈


観終わってからずっとずっとこの映画のこと考えてて

まずこの小説を書いたのはエドワードで、
わたし最初小説の映像パートが現実世界に起こったことなのかと勘違いしてて(つまり小説を読んでる、ということを忘れてる)
(ていうか奥さん役の女優さんがエイミーアダムスに似ててわからなかったのもある

小説世界に入るときがものすごくシームレスなのに比べて、スーザンが呼んでる(=現実世界に引き戻される)ときのカットはものすごく激しい、その差はわたしたちも同じように映画を観てて感じられる
ハッッ、これ小説やった!!ゼーゼー、みたいな=ハッッ、これ映画やった!となるのと同じ
没入度がとにかくすごいんだよね

スーザンのギャラリーにREVENGEっていうアートがあるんだけど トムフォードは小説『ノクターナルアニマルズ』=エドワードのスーザンに対する復讐っていうのは意図してない気がした

そもそもあれもスーザンが見ている芸術だから それを見た直後に同僚のスマホを落としちゃうのも スーザンにとっては 虚構と現実の差が曖昧になってしまっている
見る人が見ればなんの変哲も無いものなのに 無意識にスーザンは現実にあるものまで 虚構世界に取り入れてしまってる
物理的には小説からは離れているけど 読んだ余韻で虚構=小説に心はまだ入ったままだから
あのシーンでスーザンの弱さが垣間見られた

アートも小説もそうなんだけど 作られたものに対して受け手の捉え方や
それが絵画や文学の芸術作品のいいところでもあるし 悪いところでもある
だって 歌とか映画で号泣したりするのも 共感したり過去の自分の経験に当てはまるものがあったり 監督や作家の意図してることではないけど 受け手が勝手に解釈することってすごく大事なことでもあって

そこから影響された人間の弱さみたいなのをトムフォードは見せたかったのではないかなと感じた(なんかこれうまく言えない、なんていうか言葉にしたら単純になるけど

自身にもアートに囚われた経験とかあるのかもしれないな

ジェイクギレンホールはスーザンにむかし「あなたは自分のことしか書けない」って才能を否定されてたってことがあとからわかるんだけど
彼から送られてきた小説の主人公はあくまでもトニーであって、トニー=エドワードで当てて読んでいるのはあくまでも読み手であるスーザンなんだよね(当て書きした可能性も高いけど
スーザンはエドワードの小説を通して現実と虚構が入り混じっている そう読ませたうえでもうエドワードの勝ちではないか(勝ち負けとかまぁないけど
空虚なアートやコレクションを取り揃えて見た目だけ華美なスーザンとの対比でもあるし
少なくとも昔スーザンにバカにされたエドワードから脱却している
脱却というかエドワードにもともとその才能があったとわたしは思うけど、たぶん当時は若いし人生経験も少なくて、エドワードとの別れも経験していないから気づいていなかっただけなのかも

エドワードがあの小説中で人物描写(髪が何色だった、とか見た目の)をどこまで入れていたのかはわからないけど
電話かけてた娘もそっくりだったし
スーザンの思い込みの強さとかがああさせたんだろうな

小説ってほんとに自分のイメージで読むもので、ひとによって捉え方が異なるのが文学の面白さだから
それで息切れするほど怖くなったり 不安にさせられてるのは 素晴らしいエドワードの才能なのかなって
(ていうか別れた奥さんにfor スーザンってしてそんなすごい小説送りつけてくるなんて変態的なジェイクギレンホール)

現実と虚構って隣り合わせのもので 恐ろしくて スーザンは現実と虚構が別ものだと捉えているから ひょっとして エドワードが来てくれるかも 、自分のところに戻ってきてくれるかも って期待して あんな服まで着ていっちゃうんだけど ああ末期だな、、とおもったラストでした
何も変わってないんだよね

ジェイクギレンホールもエイミーアダムスも若い頃と現在のと両方演じてるの全く違和感なさすぎて ほんとキャスティングもおみごと
現在のスーザンって顔丸かったの、あれメイクなんだけど老けメイクっぽくもなくて
ていうかエイミーアダムスって意外に年取ってるやん!とあとで調べて驚愕した
ジェイクギレンホール、ブロークバックマウンテンがいちばんすきなんだけど この映画もすごいよかったよ、、、
これからちゃんと出演作チェックしよ
今度バットマンとかやるらしいけど うん、もうやればいい 彼ならできる

というかトムフォードほんとすごい
空けた瞬間紙で手切るのとか 不穏さマックスすぎやろ!
美しい狂気みたいなのを描くのがほんとに上手な監督

ていうかあの眼鏡トムフォードかとおもいきやディオールらしくて ほんまそういうとこもトムフォード気持ち悪!(褒めてる

スペシャルサンクスにマークジェイコブスとかファッション界の豪華メンツが揃ってて
サンクスとか言いつつ自分の才能を見せつけてる感じも恐ろしいぞ
控えめにしつつ才能を静かに見せつけてくるエドワードと似てるで!トム氏!

なんか感想纏まらないな、 また観た方と話したい
とにかくシングルマン 観なくては

長文失礼
あ