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ノクターナル・アニマルズのkenのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
4.3
久しぶりに極上のミステリー映画を堪能できた。エイミー・アダムスとジェイク・ギレンホールの共演にて、自然と期待も高まった。オープニングの豊満な裸婦による異様な踊りに圧倒されると共に、これから始まる物語の不吉な予感を感じた。そして、最初から最後までこの作品の描く世界にしっかりと引きずり込まれた。

スーザン(エイミー・アダムス)の元に、元夫エドワード(ジェイク・ギレンホール)から彼女に捧げると記述された小説が届いた。読み進めると実に衝撃的なストーリーで観ている自分も瞬く間に引き込まれた。エドワードの精神的な弱さ、小説家希望の書店員、ブルジョア階級で育ったスーザンは結局上手くいかず、スーザンは彼を捨てるように別れた。更に内緒で取り返しのつかないことをやってのけた。スーザンとの再会はまずあり得ないと思った。

現実と小説の世界、そして過去が同時に展開されるため片時も目を離せない。スーザンは小説に描かれた世界と過去の2人の関係を強く思い出しながら、その因果関係を感じたに違いない。小説家としての非凡なる才能を見せつけ、再びスーザンの心を惹きつけることに成功したかのように見えた。しかし、ヨリを戻したいわけではなく、ある意味復讐に近いものを感じた。

エンドロールを観ながら考えていると、実はスーザンを今でも愛していて、小説家として成功したことを認めさせ、そして彼女の間違った人生の選択に対する反省を促したかったのではないかと思えてきた。ラストシーン、エドワードはどこからかスーザンを見ていたのだろうか?
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