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オートクチュールのkenのレビュー・感想・評価

オートクチュール(2021年製作の映画)
4.5
この映画は社会人の方に是非見てほしい。フランスに限らず若手職人を育てるのは、人材確保含めて昔より難しくなっている。本作では移民問題、貧富の差、宗教の違いまでも関わってくる。

ディオールのアトリエ責任者エステル(ナタリー・バイ)は若い見習いの針子さんジャド(リナ・クードリ)が引き起こす幾多のトラブルに巻き込まれる。しかし、突き放しても決して見捨てない確固たる信念の元、彼女を仕事だけでなくプライベートでも気遣い成長させていく姿に感動せずにいられない。

エステルは自らの娘との確執で母として大きな悩みを持ちながらも、職場に行くとリーダーの姿に一変する。職場には色々な悩みや問題を抱えて生きている仲間がいる。職人達のトップにいるエステルのブレないプロの仕事振り、そして虐められたジャドとのコミュニケーションの取り方など、社会人として学ぶべき点は多いと思う。

手に仕事を持つことの意味、生きる上で必要な仕事、そして虐めにも屈しない生き方を針子職人のプロを目指す過程でジャドが気づいていくストーリーは共感できる。ジャドを決して諦めずに信頼し続けたエステルの愛情に感銘した。
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