最近、以前に比べると邦画を観るようになった。コロナ禍の影響で洋画の新作がほとんど公開されないこともあるが、関心が湧く作品が増えてきた様に思う。本作もその１つである。
二宮和也は「ラストレシピ」を観た時、俳優として気になる存在の1人となった。本作でもその力量を遺憾なく発揮していて強く印象に残った。黒木華が幼馴染みのガールフレンド役だが、これまた上手い役者さんだと思う。両親の役は平田満と風吹ジュンだが、ピッタリな感じがする。そして、真面目なサラリーマンで弟思いの兄を妻夫木聡が好演している。
写真家の浅田氏の幼少からの実話ベースだが、途中までは観ていて楽しいし笑えてくる。学生時代は色々あっても、家族がその都度写真撮影に協力してくれるのは嬉しいし、皆んなにも良い思い出となる。それにしても、ユニークな発想で撮り続けていたのが素晴らしい。
父親がふとしたことから子供の時に与えたカメラ…これに興味を持って家族写真撮影にこだわり続けてきた結果が後の成功に繋がる。東日本大震災を経て現地を訪問して、写真家としてどうあるべきかを自問自答する姿、そして新たな未来に向かって歩み出す姿、いずれも真摯な態度で好感がもてた。きっと、この写真家に家族写真を撮ってほしいと感じた観客もいたと思う。
