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21ブリッジのkenのレビュー・感想・評価

21ブリッジ(2019年製作の映画)
4.0
主人公アンドレ役のチャドウィック・ボーズマンの遺作である。言われてみると本作では少し顔がやつれて見えた。ブラック・パンサーでの活躍が記憶に新しいが、これが最後とは残念である。

NYPDがマンハッタン島の21の橋を全て封鎖して、警官8人殺しの2人組の犯人を追い詰める作戦が展開された。しかし、その陰には隠された秘密があった。事件解決のみならずその秘密も暴き出したアンドレの洞察力と正義感に、警察官のあるべき姿を垣間見た気がした。

優越的地位を利用した収賄行為や職権濫用が横行しているイメージの警察だが、父親譲りのアンドレの言動は全く違った。自らのスキル・判断力に自信を持ち、FBIにも動じない。警察官としての使命感と責任感をもってプロの仕事を遂行するアンドレの姿が頼もしく感じた。

また、容疑者の命の確保にも配慮しながら逮捕に迫る姿勢は、米国の実社会ではレアケースかもしれないが感動した。最後に腐敗した警察組織の実態を見過ごさず、ドライに対処するところは真の警察官にしかできないと感じた。銃社会の米国で仲間を摘発することによる恨みは、単なる嫌がらせではなく殺されるおそれもある為、実に勇気ある行動だったと思う。
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