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ノクターナル・アニマルズのNEWおっさんのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
4.5
「美しさすら覚える復讐の形。」

ファッションデザイナーのトム・フォードの「シングルマン」に続く監督作。「シングルマン」は見てないが、本業がある人のいわば副業という色眼鏡で見たとしても、正直完成度が高くて驚いた。内容も一筋縄では行かないサスペンスであり、演出や静かに且つエネルギーを感じる作りで
釘付けになったわ。

簡単に言えば別れた小説家の元旦那から一冊の小説が送られて来て、その小説を読む主人公、スーザンがその小説に釘付けになってしまい生活に支障をきたしてくる、と言った内容。その小説の内容があまりにリアルで、我々視聴者にも事細かに描写するのでこれは本当に起きたことなんじゃないかとか思ってくるのが上手い。

小説の内容は振り返れば正直捻りもないシンプルな復讐劇なんだが、その内容が現実にどう関わってくるのか、に焦点が当てられているので、シンプルながらも最後まで目が離せなかった。いわゆるダブルな構造とでも言うのか。

時々小説の内容だけじゃなく、現実やエドワードとの出会いから離婚までを描いた描写も挟んでくるが、時系列はバラバラながらもファッションデザイナーである監督のセンスが上手く使われてて、風貌や衣装などでこれはどの時期のことなのかは分かりやすい。あとデブモデルが踊るオープニングのエキセントリックさも秀逸。ここでまず心奪われたわ。

多分、見終わった後何のこっちゃってなる人も多いだろうし、自分も最初ははあ?って思ったけど振り返ると凄い話だし、色々と語りたくなること請け合い。視聴者に答えを委ねるトコもあるにはあるけど、大まかな流れはこうなんだろうって解釈はあるのでそんなにモヤモヤ感もないし、いやこれは良く出来た作品だった。傑作だわ。

余談、最後のスーザンの衣装がエロ過ぎなんだけど。ノーブラっぽいし。エイミー・アダムスもスーパーマンの婚約者役とは全然違うキャラで良かったなあ。

—————ここからネタバレ—————





















抽象的な内容なんでこれが正解、というのは描写されてないが、まあ小説の犯人がプライド高いスーザンで、妻娘が中絶したエドワードとの子供というメタファーなんだろうという解釈。

問題は小説のラストでトニーが死んだように現実でもエドワードは死んだのか、ってコト。死んだのならメールはどうやって送ったんだ、ってコトだけど他人に頼むなり時間差で送るなりどうとでもなるだろうし、自分は死んだ説を推す。ここの解釈が視聴者に委ねるのはなかなか憎い。エドワードは現実時間では一切出てこないのも上手いわ。