MISSATTO

ミモザの島に消えた母のMISSATTOのレビュー・感想・評価

ミモザの島に消えた母(2015年製作の映画)
4.0
私がフランス映画の中で特に家族物が好きな理由は、家族とは個々人の集まりで最も小さな社会である事が前提にあるからだ。人間関係を築く難しさも安堵も詰まってる。
この映画は家族間の人間関係の崩壊と構築の両方が描かれている良作だと思う。

30年前の、自らが10歳の時に遭遇した母の死の謎解きに執着する兄と、当時5歳と幼かった故に兄より記憶が薄く育ての母親をママと呼び今を生きる妹。
話が進むたびに近付いたり離れたりする兄と妹の考えや態度の違いは、当時の記憶濃淡の差かもしれないし、男女の差かもしれないし、現在の兄妹それぞれの立場の違いかもしれないが、何にしても恐ろしくどちらにも感情移入してしまった。いや、むしろ私も妹の立場だから妹アガットの方に寄ってたかも。
兄アントワーヌを信じたい気持ちと、何か恐ろしい事実が出てくるか、もしくは何も出てこなくて今までの家族関係を壊されたくない気持ちの間で右往左往する。
冒頭から続く息苦しさはそのせいかもしれない。どちらが正しいのか分からない。

だが、ある核心となる事実が明らかになってからラストまでの展開はもう何も考えずに行き着くところを見せて欲しい!と夢中になり、モヤモヤしながらもラストで納得出来た。

種明かし(?)を知った今もう一度見たらまた違う感情を持つかも知れない。
父親と兄の関係、義母と妹の関係、父親と兄妹の、そして祖母と兄妹の関係。
驚くほどの家族の話が詰まった映画だった。

一つ残念なのは邦題にあるミモザを感じられるシーンが無かった事。なぜこの邦題にしたのか…
原題はBoomerang。
そのままで良いじゃないか…
MISSATTO

MISSATTO