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ダム・マネー ウォール街を狙え!のMISSATTOのレビュー・感想・評価

3.7
「アイ・トーニャ」のギレスピー監督×主演ポールダノで、あのゲームストップ株騒動を描くという予告編を見ただけで、これ絶対面白いやつだと思って見てきた。
結果、面白かった!
視点をどう置くかで、見え方がここまで違ってくるのか、という驚きも大きかった。

鑑賞前提として、騒動については、ニュースでチラッと読んだ以外は、Netflixドキュメンタリー「イート・ザ・リッチ〜ゲーム・ストップを救え〜」を1年前くらいに見た程度の知識。

ドキュメンタリーを見た時は、正直、今作の主人公であるローリング・キティことキース・ギルに、ノリ以外でなぜそこまでの人々が追随したのか不思議だったし、他の要素が運良く(?)重なって、ヘッジファンド側も小口投資家側も、結局数字の向こう側の人間を弄んだだけという印象を受けた。

ところが、今作でポールダノが演じたことで、軽薄そうなナードが、他の小口投資家たちと同様に、“普通の生活”をしながら一本筋を通した投資を貫いていく強さみたいなものを感じ取れた。
しかも、コロナ禍という特殊なコミュニケーション制限の社会環境に置かれた者たちが、ネットに救いを求めて集まる様が丁寧に描かれ、自分に起きた状況とも重なって、納得できた。

作品では、スマホの中のマーケットの動きに齧り付いてるわけにはいかない“普通の生活”をしている小口投資家たちの目線で騒動を見ていく。
そのことで、国は違えど、同じような境遇の私からすると、容易に作品の中に入り込めた。
彼らがゲームストップ社の株に投資する理由や理念には、相変わらず疑問は持ちつつも、それがまさに市場の問題点を炙り出していることが見ていて分かるから、どうしても応援したくなるし、金で金を儲けていく富裕層が右往左往する様に「ざまぁ!」という心の声が止められなかった(笑、…とはいえ…私は作品を見てるだけで1円も稼げてないのだけど…)

下院議会の聴取会に召喚されたキースギルの場面、グッと来たもんねw

とはいえ、映画館出た時には、明日からまた堅実に働くか…となったけど…。
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