若干6歳にして即位したクリスティーナ。文学に囲まれ知性溢れる人々に育てられ、立派な王に導かれる。圧力と宗教問題に対面し、その隙間に女官のエバに心惹かれ、2人の時間を大事にし始める。国のため彼女が最後に下す決断とは。。。
描写は非常に丁寧であり、彼女の葛藤や、女が王になるということ、何かを手に入れるため生きる女性像として、非常にたくましく、同時に切ない物語である。
ほぼ男装に近いシンプルな黒を基調とした衣装に、黒髪のクリスティーナに対して彼女が思いを寄せるエバは金髪で淡いドレスを身にまとい良い対比を生み出している。2人がまぐわうことで、クリスティーナな自然と男性らしく見え、2人が醸し出す空気感は、息が触れ合い香りまで漂ってきそうな美しさがある。
美しさと強さの中に哲学的要素もふんだんにあり、その一環でグロテスクな描写もあり、これが良いスパイスを与えてくれており、淡々とした中に、見応えを与えてくれる。
何かを貫き通すこと、彼女の孤独な戦いは人生の全てをかけて、1人で決断し向かっていく。国の犠牲になり大人の犠牲になり、それでも戦うことが自身の意志にしっかり繋がり、強くたくましく生きたこと、その姿は今の時代にも女性たちの大きな希望につながるだろう。