emily

アナーキスト 愛と革命の時代のemilyのレビュー・感想・評価

3.1
19世紀のパリ、無政府主義者(アナーキスト)の潜入捜査を行うことになったジャン。印刷工に扮し、彼らに近づき徐々に信頼を得ていく。リーダー格のウジェーヌの妹分かつ恋人のジュディットに惹かれやがて二人は恋に落ちる。彼らの行動はエスカレートしていく思わぬ方向へ進んでいく。

俳優陣が豪華で、鬱々とした時代背景を抑え気味の色合いで包み込み、青白い室内にほんのり光が差し、煙草の煙が浮かび上がる。
侵入捜査員が信頼を勝ち得ていく絶妙な空気感と、今にも裏切り者とばれそうな緊迫感が常に漂いスリリングな展開を楽しめる。

ジュディット演じるアデル・エグザルコプロスの豪快なキスシーンは人間味があふれる暖かさと、飲み込まれそうな迫力にどっぷりと魅せられる。

彼らが写真を撮るシーンがある。全員黒ずくめに黒のハットを被り、統一されたシックな装いは美しく洗練されており、クールなアデルも美しい。しかしカメラと鏡は本当の彼らを映し出すように、それぞれのインタビューを、よいタイミングで挿入し、心情を探らせる。

三角関係の緊張感は淡々とした日々の会話の隙間の探り合いに色濃く出ており、アナーキストの行動が過激になればなるほど、緊迫感も並行して加速していき、独自のスリリング感が全員を追い詰め、破壊へと導いていくのだ。

シンプルながらも色彩と緊迫感、アデルの魅力は十分に堪能できる。
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