panpie

ノー・エスケープ 自由への国境のpanpieのレビュー・感想・評価

4.5
未だ淵に立っているのにどうしても観たくてGW後半重い腰を上げて観に行ってきました。


果てしなく続く砂漠を一台の古びた小型トラックが走る。
ここはメキシコ。
国境迄まだもう少しある時点でトラックは止まる。
どうやらエンジンの不具合のようだ。
トラックの荷台は見えない様になっておりアメリカへ密入国しようとしている15名が乗っていた。
その中で整備工の男が修理に呼ばれるがトラックはもう壊れてしまった事が分かりそこからガイド2人と密入国者達は歩いて国境を目指す事に。
砂漠を歩いて国境を越えるとは無謀と思うがリスクを冒してまで皆アメリカへ行きたい気持ちの方が強いのだ。

そのうち歩く速さに差が出て歩みの早いグループ10名は遅いグループ5名を残して先に行ってしまう。
並行して犬を連れたピックアップトラックに乗った男が兎狩りをしている。
犬はシェパード。
飼い主の男の言う事をよく聞く恐ろしく賢そうな犬だ。
私は既に嫌な予感がした。
こういう映画に出てくる犬は皆恐ろしいのは今迄観て来た映画で実証済みだ。
さてどんな展開になるやら。

先に進んだグループは10名程。
そこへ先程のピックアップトラックがやってきてグループから少し離れた見えない所へ止まった。
遅いグループはそこにトラックが止まった事を高台から見つけ隠れて様子を見る事に。
トラックから降りて来た男は遅いグループよりも低く先に行ったグループよりもやや高い所へライフルを持って登り始めた。
嫌な予感。
遅いグループが見守る中男はライフルを構え早いグループへ狙いを定め一人また一人と撃ち始めた!
突然の射撃に散り散りに逃げ惑う人々。
正確で無慈悲な追撃。
何故撃つの?
一体何の為に?
あっという間に全員射殺されてしまった!
見ていたグループは恐ろしくて身動き出来ない。
男はまだ彼等が見ている事には気付いていない。
車に戻って男は笑い出し今度は泣き出した。
「俺の国だ!」
意味が分からない。
国境警備隊でも警察でもない男の呟きに背筋が冷たくなった。

皆殺しにして悦に入っている男の背後で犬が激しく鳴き始めた。
遅いグループが自分達の行く末を危ぶみ逃げ出し犬がそれに気付いて吠えたのだ。
男に知られてしまった!
まだ俺の国に勝手に入国しようとしている奴らがいるんだな!
許さん!
男は犬と共に彼等の後を追い始めた。

早く逃げて!
早く!早く!
犬が追ってくる!
逃げている一人の男がリュックを落とした!
いいから逃げて!
早く!
あっ!追いつかれてしまった!
狂犬がリュックを落とした男に飛びかかり容赦無く襲いかかる!
…ああ、犬に噛み殺されてしまった。
男の目的は分からず終いのまま一人ずつ逃げ惑う密入国者は追い詰められ減って行く。
男はハンティングを楽しんでいるようだ。
動物のハンティングではないのに!
狂っている!

遂に追われる側は二人だけになってしまった。
夕方になり男は犬と共に引き上げて行く。
メキシコの広大な風景が美しく果てしなく続いている。
明日もこの地獄が続くのか?
あの狂った男と犬から逃げ切れる方法は?
果たして二人は無事にアメリカへ行く事が出来るのだろうか?

ここからがこの映画の見せ所だ!
紹介はここまで!


88分とやや短めだったが私にはもう十分だった。
それよりも長く感じた程だ。
自分が男と犬に追われている様で片時も安心する事が出来なかった。
男は犬を使って探させる為耳や鼻の良い犬から逃げる事が絶望的に思われましてや逃げる方は丸腰なのだから堪らない。
予想が付かない早い展開に口が開きっ放しだった。
私も砂漠を逃げている追体験をさせられている様で喉が渇いた。

息子に返す為に持っていた音の鳴るぬいぐるみがこんな時に鳴って!と腹の立つ事やこういう使い方もあったか!としてやったり感もあったりしてなかなか効果的に使われていた。
やっと安心出来たと思った束の間次々に降りかかる二転三転する出来事にハラハラさせられっ放しだった。


逃げる男を演じたガエル・ガルシア・ベルナルは私が知らないだけでたくさんの映画に出ているんですね!
「バベル」にも出ている様ですがどの役だったのか思い浮かびません。
追う男は「ウォーキングデッド」のニーガン役のジェフリー・ディーン・モーガン!
もうニーガンを観たくて今作を観た様なものです。\( ˆoˆ )/
素晴らしかった!
ニーガン今作でもやってくれました!
今作もかなり期待を裏切らないくらいニーガンにも劣らないマッドな役で本当に憎らしく早くやっつけられて欲しいと願いながら私はやはり逃げる男を応援していました。
カウボーイハットが物凄く良く似合っていて腹の立つ程しつこい嫌な役だったけどカッコ良かった!


監督は「ゼログラビティ」のアルフォンソ・キュアロン監督の息子のホナス・キュアロン。
なんでも今作の構想から「ゼログラビティ」が生まれたそうですよ!
これからが本当に楽しみなキュアロン親子。
これからも親子で切磋琢磨してまた名作を撮って欲しいものです。


ハラハラ感半端ない今作、とても楽しめました!\( ˆoˆ )/
二転三転するストーリーに一喜一憂して見終わってとても疲れましたが面白かった〜!
ウォーキングファンは次のシーズン8が今年秋から公開されるそうですがそれ迄の繋ぎに今作でニーガンを堪能出来ます!
是非ご覧ください!ヽ(´▽`)/
panpie

panpie