アラバン

メッセージのアラバンのネタバレレビュー・内容・結末

メッセージ(2016年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

SF映画ではあるものの、SF的要素はギミックというか、この映画のメインは非常にパーソナルで内省的なものなので、この映画全体の静かな質感が非常に合っているし、短編小説の映画化にありがちな軽さも払拭している。

ストーリーの核となっているのが、エイリアンとのコミュニケーションプロセス。
誤訳によって深刻な対立が生まれ得るし、相手を見誤れば簡単に侵略を許してしまうことにもなり、相手の目的が友好か侵略かわからない中でコミュニケーションエラーを防ぐ為に手探りで意図を模索していき、徐々に相手の考えを理解していく過程は面白かった。

香港に行った時に通訳にドタキャンされ、英語と広東語の絶望ミックストークになって、とりあえず何でもいいから早く切り上げなければと考えていた、どこぞの誰かとは大違いです。どうでもいいですが。。

愛情の深さと悲しみに対する強い決意が感じられる最後の決断も感動的。


しかし、、


未来はあらかじめ決まっているので、自由意思などは幻想であると云う決定論的な考え方は否定しませんが、その固定されている未来が全てわかってしまうのであればハナシは複雑。

未来をカンニングして現在の行動を決定出来ること込みの未来であるならば、自分の尻尾を食う蛇のようないびつな因果であり、そんなものが成立するとは到底思えないし、それより何より、変えることができない未来を見てしまうことによってあらゆる選択肢が消滅し、自由意志などない事が分かってしまうことが最悪中の最悪。

彼女が見たものは「起こり得る未来の一つ」ではなく「未来で既に起こった事」なので、最後の彼女の感動的な選択も、実は意志による選択ではなくて、感情がオートマチックに作用し、その道以外選べないことになっていた気がしないでもない。推測。

あの件にしても、そんな重大なことが最初からわかってたのなら、作る前に言ってくれよって、、そりゃブチ切れますよ。重大かつ基礎的なコミニケーションエラー。
でも、事前に伝えるという選択肢などそもそもなかったとも言えますが、、
アラバン

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