ずどこんちょ

リメンバー・ミーのずどこんちょのレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
3.6
「死者の国」の美しい世界観に圧倒されました。光の輝き方が幻想的でなんとも美しかったです。

『モアナと伝説の海』の時もそうでしたけど、本作も亡くなった祖先たちと今生きる家族を描いた作品でした。
主人公ミゲルは音楽が禁じられた家族から逃げ出し、死者の国へと迷い込みます。
亡くなった祖先との交流を通じて、今を生きる家族たちの大切さを知っていく温かい気持ちに包まれる映画です。

改めて感心したのは、実際にメキシコで行われている「死者の日」の風習をアニメの設定に変えて、死者の国の世界観に繋げていくディズニーのイマジネーションの力です。
マリーゴールドの花びらが死者をこの世の家族の元へと導くという言い伝えを具現化し、マリーゴールドの花びらでできた橋を渡ってあの世からやって来る死者たち。
しかし、現世にいる人たちに迎え入れられる準備が整っていない死者はその橋を渡れません。
実際にある言い伝えからここまでの世界観を作り上げる創意工夫にいつも驚かされます。
七夕とか日本に馴染みのある風習もディズニーでアニメ化してくれないかなぁ…

もう一つ衝撃だった設定が、この世の人たち誰一人から忘れられた人は、死者の国で「二度目の死」を迎えて消え去ってしまうということ。
ミゲルが死者の国で出会ったヘクターは、死者の日に祭壇に写真を飾られない孤独な男で今にも消えかかっているのです。
現世でも「人が本当に死ぬ時はその人のことを忘れてしまった時だ」などとよく言いますが、実際にアニメの設定で見ると言い表せないほどに切ない。
お盆に親戚一同が集まって故人を迎え入れる風習が懐かしい時代になってきました。ハワイに行ったり、リゾートに行くのも良いでしょう。でも、一年に一度は先祖を思い続けていないと、その人たちが消えてしまう。「二度目の死」が訪れてしまう。
私たちの世代まで命を繋いでくれた先祖に想いを馳せるきっかけとなる映画でした。