くわまんG

ロシアン・スナイパーのくわまんGのレビュー・感想・評価

ロシアン・スナイパー(2015年製作の映画)
4.0
華奢で寡黙な女スナイパーが人でなしナチス兵をしらみ潰しにする無双アクション!…ではなく、必死に頑張った女の子の半生を描いた丁寧なドラマでした。

みどころ:
ラストの胸がすく演説
主人公の心情描写が充実
女性を守ろうとする男
女に守られようとする男
アクションはやや地味
物理的なグロダメージ有

あらすじ:
18歳の春、リュドミラ・パヴリチェンコは晴れて名門大学に合格し、英語教師の母と喜びを分かち合っていた。しかし高慢な将校の父には見向きもされず、憂さ晴らしがてら友人と射撃場に向かう。
すると、そこで残した記録的な成績が軍の目にとまり、女狙撃手として入隊するよう勧誘される。周囲は、父でさえも当然反対したが、なんと彼女はこれを受諾してしまう。
4年後。309という破格のキルカウントを積み重ねたリュドミラは、今や英雄として担ぎ上げられていた。果たして彼女は何故、何のために、何を想って闘い続けているのか……。

「父親に認めさせてやる…!」というコンプレックスを発端に葛藤を始めたリュドミラが、内的にも外的にも文字通り死線をかいくぐり、数奇な巡り合わせで理解と共感を得て報われる感動大作。「偶然お偉方の目に留まったから助かっただけのドヤ実話」といったご都合モノではなく、「彼女を守ろうとした人たちの想いが結実して起こった奇跡」と言えるでしょうねぇ。

凄腕狙撃手パヴリチェンコを盾にしてのうのうと生き延びる高官どもと、一本気な女の子リュドミラを愛した仲間たちとが、彼女を通して対照的に映り、いわゆる男らしさが孕む身勝手な甘さをあらわにしていくんですね。めでたい面して「男たるもの…!」と吹くようなやつに限って、痛いところを突かれただけで「俺はいいんだよ!」なんて威嚇したり逃避したり、情緒的に未熟なものだというわけです。

…気をつけよう笑