Kachi

ガタカのKachiのレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
4.2
生命の選択を巡る倫理観を問うSF。
1997年当時もすでに遺伝子操作が孕む危険性について、クローン羊のドリー誕生も相まって定期されていたが、遺伝子検査で産まれてくる子どもの疾患が予見できるようになり(2023年現在)、命の選択がより身近でかつ重要な課題として突きつけられている。

本作は「遺伝子によって殆どすべてのことが決まってしまうのか?」という大きな問いを投げ掛けている。もちろん環境の影響もあるため、「すべて」であると断言はできない。(実際、予期せぬ事故に遭ってしまった優秀な遺伝子を持つジェロームをヴィンセントは利用することになるのだから)

そして結論として、「どう生きたか」、「どう遺伝的な運命に抗ったか」を肯定するように締めくくる。ヴィンセントが宇宙へ旅立つことによって。また、アイリーンや検査官に正体を悟られても後押しされることによって。

いつ正体がバレるか、いつ不慮の事故に遭ってしまうか、といったことに感情を揺さぶられながら、無事に着地(実際にはリフトオフだが)してくれた本作に肩を撫で下ろし、良作を観た余韻そのままに眠りにつきたい。
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