回想シーンでご飯3杯いける

キングスマン:ゴールデン・サークルの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.3
スコア4.8の高評価を付けた「キングスマン」の続編という事で、早速劇場にて鑑賞。

Prince"Let's Go Crazy"に合わせて繰り広げられる冒頭のカーチェイス・シーンからいきなりテンションMAX ! 全体的に前作以上に音楽とアクションの融合に力が入れられている印象で、同じイギリス映画の「ベイビー・ドライバー」と同じ勢いを感じる。主人公2人のコンビネーションもパワーアップ。1回観ただけでは全てを把握できないほど緻密に計算されたアクション・シーンは本当に素晴らしい。

一方で、「キングスマン」のテーマである紳士道を体現する「抑制の効いた残虐性」が完全に姿を消して、単なるグロ映画になってしまったのはマイナスポイント。作動しないパラシュートを付けてスカイダイビングを強要→実は作動するパラシュートだった、愛犬の剥製→実は殺していなかった、脳味噌爆発→ポップなCGでエンタメとして昇華、、、、という、グロのようでグロじゃない絶妙な演出が前作最大の持ち味だったと思うので、人肉ミンチや敵味方関係なく登場人物が簡単に死んでいく描写は、とても残念に感じた。

Elton Johnが、ロックオペラ映画「トミー」('75年)の時とほぼ同じ衣装で登場したのには驚いた。彼の厚底ブーツ姿を再び拝めるとは! 「トミー」ではピンボールの魔術師だった彼が、今度はボーリングに挑戦という事で、何ともニヤニヤしてしまう場面である。

ただ、この特別出演も、イギリス目線で見れば、日本の「笑ってはいけない」シリーズに登場する大御所俳優のように大味な扱いなのかもしれないし、作品全体としては、前作以上のスケールアップを狙った結果、登場人物&アクションのインフレ化、そして戦略性低下という"続編あるある"を感じてしまった。これは監督であるマシュー・ボーンの劣化というよりも、作品が彼のコントロールの及ばない規模になってしまった事に起因しているように思う。