しゃにむ

キングスマン:ゴールデン・サークルのしゃにむのレビュー・感想・評価

4.8
「Manners Maketh Man」

<朗報>ウヰスキーは馬の聖水だった。

↓あらすじ
事件から1年後。キングスマンの諜報部員エグジーが何者かに襲撃される。何とか撃退したもののキングスマンの諜報部員が一斉にミサイルで爆撃され組織が事実上壊滅。審判の日のシナリオに従い、アメリカのスパイ組織ステイツマンに保護を求める。そこで死んだはずの諜報部員ハリーと再会。一命と引き換えにハリーは記憶を無くしたのだった。事件の背後にいるのはゴールデンサークルという巨大な麻薬組織。麻薬にウイルスを仕込み、世界中の麻薬使用者を人質取って、麻薬の合法化を求めるのだった…

・感想
最低でも前作以上。最高でも前作以上。前作以上に刺激的で爽快な続編推参。ハリー譲りの紳士的スマートさと気品が板についたエグジーと、少し不調気味のお茶目でダンディな蝶々博士のハリーの息の合った師弟コンビのアクションと、英国流ユーモアとウィットに富んだ掛け合いは絶品だ。また後方支援から前線にぐいぐい出てくるお洒落坊主のマーリンのはっちゃけた一面に笑わされプロ意識を徹底する漢気にほろりとさせられる。カントリーロード熱唱にハンカチがびしょ濡れ。今作で共闘することになる米国スパイ組織ステイツマンの活躍も素敵だ。黒の組織みたいなコードネームのきざなカウボーイハットのあんちゃんの目に止まらぬ2丁拳銃さばきと華麗で残酷なビーム投げ縄さばきにすっかり心奪われた。キレる紳士キングスマンに負けず劣らずステイツマンは大胆で粋なアクションで魅了する。彼らと敵対するキュートでサイコな麻薬の女王ポピーはファンキーな黒幕バレンタインに引けを取らない。裏切り者をひき肉にし、新参者に人肉ハンバーグを食べさせる恐怖の入社試験は何人の観客のポップコーンとコーラの逆流させただろうか。ひき肉犬神家は何とも斬新だ(麻薬を合法化する目的は日本の芸能界の風刺だろうか) 忘れてはいけないのがエルトン・ジョンの存在。はっちゃけまくりで爆笑をかっさらう。エルトン・ジョンはお友達。これだけは覚えている。冒頭から爽快なスピードで最後まで駆け抜ける文句なしの傑作だと個人的に思う。今年初っ端からハイスピード。DVDが待ち遠しい。

・バタフライ
この2人の関係性は何だろうと思った。単なる師弟関係ではないだろう。兄弟とも親子とも違う絆で結ばれていると感じた。致命傷を負い一面を取り止めたハリーは副作用で記憶喪失と若年退行を患った。感動の再会とはいかない。蝶々を追う別人になった。エグジーがそこで自分を虫にたとえてハリーに語りかける場面が個人的にグッときた。「自分はどうしようもないうじ虫だった。それをあんたは青虫にしてくれた。今じゃ羽さえある」この台詞は2人の関係を象徴している。感謝と尊敬。切っても切れない絆がある。言葉にしなかった想いがこの時だけ言葉として現れてすごく惹きつけられた。2人のコンビの息の合う理由はこの言葉にある。いい関係。

・し○んべんの水割り
颯爽と現れた新スパイ・ステイツマンのジョークにゲラゲラ笑った。審判の日のシナリオに従いステイツマンに会いに行った初対面で諜報部員ウイスキーの皮肉が炸裂。「英国人が南部人にマナーを教えた。しかし今じゃ英国人はマナーを忘れちまった」ファーストコンタクトはワーストコンタクトだった。イピカイエー!これに対するマーリンの仕返しがまたピリリと来る。「ウイスキーは牛のし○んべんだ」スコッチ派はここまで言う。自分は普段から牛のし○んべんを水で薄めて飲んでいたのかと猛烈な吐き気に襲われた。
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