じゅーけん

バジュランギおじさんと、小さな迷子のじゅーけんのレビュー・感想・評価

4.4
一言で言おう。ズバリ!
『犬のおまわりさん』の大冒険!
(童謡の引用です。主役は犬でもなければおまわりさんですらありません/笑)


私にとって初のインド映画。
インド映画というと、大勢の人が歌って踊るシーンがふんだんに盛り込まれたミュージカル的なイメージ。
物語の合間合間に歌と踊りのシーンが入るって、話が止まったり切れたりしそうで、なんだかなぁ〜(°_°)と思ってました。

しかし、ちょっと考えてみると、「ラ・ラ・ランド」や「グレイテスト・ショーマン」もフツーに楽しめたし、実は宝塚歌劇も好きだったりする。
あれ?そこまで抵抗を感じることないんじゃないか?と、あっさり考えをひるがえし鑑賞(笑)


ただ、「迷子ちゃんを届けよう」って話なのに、大スペクタクル!
こんなちっちゃな設定にここまで盛る?ってくらい盛りまくった壮大なお話(笑)


号泣。(ToT)

もうね、ベタなんですよ。
ゴールを目指してるだけなのに障害が立ちはだかり、それを乗り越えていく展開。


人と人、宗教と信仰、国と国の、いろんな因果関係が全部のっけ盛りで「迷子ちゃん届けよう作戦」の前に苦難として立ちはだかる。
ちょっと前に「グリーンブック」を観たばかりなので、こういう根の深いシガラミはいろんな大人の事情ってやつで、簡単にはなんとも出来ない大きな大きな障壁であることはよくわかる。そこにお国事情もガッチリ絡み合うからなおさらだよね(-_-;)

でも、お家に、家族のもとに帰りたいだけの小さな迷子ちゃんには関係の無いことで、それどころか、帰り方がわからないことの方が大問題。
その切なる願いと社会的シガラミの障壁との間で、ただ純粋にその願いに応えるべく奮闘する姿に、胸も目頭も熱くなりました。


わかってます。
こう来るよねって展開も、予想通りのラストもわかってますよ。

なのに、号泣。゚(゚´Д`゚)゚。

わかってるのに、読めているのに、
何故に涙が溢れる…鼻水までも湧き水の如く…(笑)


何故と考えるだけ愚かでした。
心打たれるのに理由なんていらないんですよね。
感じて動くと書いて「感動」。


心が、本能が、わかってるんですよ。
予想通りじゃなく、期待通りなんですよ。

こう来るよね?
こう来るだろ?
こう来てくれ…
ほら来たー!
みたいな(^_^)
作品に没頭して、いつの間にかそう願っちゃってる自分がいました。


私はインドとパキスタンの歴史的因縁は詳しく知らないが、社会的シガラミの重大さ、交わることの困難さというものは少なからず解っているつもり。
しかし、それを小さな迷子ちゃんの前に振りかざす必要はあるのだろうか。

この作品を通して、個々それぞれ一人一人の愛が繋がって広がっていけば、やがて大きな大きな一つの愛になる。
そんな愛のもとでは争う必要が無い。
今の我々に必要なのは、武器でも敵意でもなく、認め合う勇気、相手を思いやる心。
その思いが愛となり、大きな一歩を踏み出す糧となる。
国と国との歴史的因縁に対してもそんな社会的メッセージが込められていたように感じました。


昔の某人気ドラマのロン毛の兄ちゃんも言っていた。
「そこに愛はあるのかい?」

小さな子供の願いに向けられた大きな大きな愛と、それに共鳴していくたっくさんの愛に、心の感じるままに動かされてください(^^)

素敵な作品をありがとう。
感謝の意を込めて叫ぼう。
「ラーマ万歳!」