じぇれ

マジカル・ガールのじぇれのレビュー・感想・評価

マジカル・ガール(2014年製作の映画)
3.9
「やがて魔女になる君たちのことは、魔法少女と呼ぶべきだよね」

こんなセリフが印象的だった日本のアニメをモチーフにした悲劇の物語。

白血病で余命幾ばくもない娘の願いは、日本のアニメの一点ものコスを手に入れること。父親はそんな純粋な願いを叶えるため、いつしか道を踏み外していく。

本作の魔法少女が誰なのかを特定するのが、評論の焦点になったようですが、私はそこにはあまり意味を見出しません。

女は願望を抱き、男は愛のため勝手に惑わされていく。古(いにしえ)から変わらぬ滑稽な構図を、シニカルに描いたのが、本作と言えるでしょう。

程よい省略と、抑制の効いた演出もみどころで、説明過多な作品が溢れかえる昨今では、心地よい思考をさせてくれる快作に仕上がっています。
元来、映画は映画館の暗闇に没入しながら味わう芸術ですから、これぐらい省略してくれた方が、味わいは増すでしょう。
なんなら、これでも説明しすぎなぐらいで。

とかげ部屋で何が行われているかを描かないのは、賢明な判断であり、画で説明したら陳腐になっていたでしょう。
肝心なのは、途中でやめる魔法の呪文を使わずに、多大な犠牲を払ってでも、あの人が何を守ろうとしたのかですから。

という訳で、つくづく男ってバカだなぁと、自嘲気味に笑うしかないわたくしなのでした。

女は存在自体は魔女ではありませんが、男が魔女に仕立てあげてしまうんですよ、いつの世も。。。
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