ちょっとしたプロパガンダ映画にして賛歌。
事実を元にしているが、なかった社歌を創作するなどもあり、社史のような態様だと思った。
時系列が前後するので、なんだかわかりにくいこともあるが、社史の視点である。そこには客観性(批判性)はいらない。
原作と監督コンビの前作『永遠の0』でも、同様だった。
特攻というのは人間魚雷の「海軍特攻」も含め、世界に類を見ない特殊な戦法だった。(日本も三沢に配備する)ドローンやロボットが、導入されていくように、どの戦争でも兵士の消耗を避けたい。
それをやらなかったのはなぜか、避けられなかったのはなぜか、命令したのは誰か、どういう構造だったのかなどの視点はなかった。
一方、今作と同じ石油王をテーマにした『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール=トーマス=アンダーソン監督らは、手段を選ばず、心に闇を抱えた人物の物語として描いていた。
ずいぶん違うものだ。
この『海賊と~』は、テイストとしては『300』(スリーハンドレッド)に近い感じがする。「船出せー」「うおー」。