トトロイ

カルテル・ランドのトトロイのレビュー・感想・評価

カルテル・ランド(2015年製作の映画)
3.8
【言葉を失う】

観た後にこんなに気分悪くなる映画初めてかもしれません。
現実の出来事と思いたくない地獄絵図。

でもドキュメンタリーとしては最高の作品だと思います。

カルテルから市民を守るために立ち上がった自警団が徐々に巨大化し、いつのまにか市民に危害を加え始め、政府の犬になり、最後はカルテルになるという、悪夢のような連鎖。

警察の制服を着た自警団兼カルテルのボスが、「ヤクは政府の一部なんだよ」みたいなこと言ってるシーンが強烈すぎましたね……。

善と悪は紙一重とよく言いますが、この映画はそれを鮮烈に描いています。
自警団を設立したミレレスさんは気の毒でしたが、この人にただ同情することもできないのが、この映画の難しいところ。

善悪で片付けるのは簡単ですが、それを判断するには、日本で生まれ育った私のような人間は平和ボケし過ぎてるような気がします。

ただ、パパスマーフは絶対裏切ると思ってました!😠

そして忘れてはならないのは、この映画を撮ったスタッフの存在ですね。
彼らはメキシコ風に言えば間違いなく「タマがある」。

同行していた自警団が、目の前でカルテルのような拷問をしている様子を、どんな気持ちで見ていたんだろう?

かなり重い映画なので、観る時はそれなりの覚悟を持って見たほうがいいかもしれません。
トトロイ

トトロイ