emily

ユートピアのemilyのレビュー・感想・評価

ユートピア(2015年製作の映画)
3.0
 三島由紀夫を敬愛する青年ヒンズと、カトリックのジョーイの元にミン教授が赴任する。彼は初日から男性同士が抱き合う写真をスクリーンに映し、自分はゲイであることをカミングアウトする。嫌悪感からジョーイは講義を後にするが、ヒンズはたちまちミンに惹かれお互いに求め合うような関係になっていく。 

 香港が舞台であり男性同士が性交渉を持つことは、法的に禁じられている。本作が描くのは、同性愛を肯定的に定義するものではなく、男女間の間で独占したり、嫉妬に嘆いたりする悲観的な感情を取っ払い、愛の自由化、新しい男女間の愛の形をユートピアとして描く、心の中に潜む欲望を解放していく開放的で挑戦的な作品。

 香港だけでなくバンコクの街並みや、モザイクは多いが裸体の男たちがまぐわう姿、タブーを乗り越え前衛的な愛の形として、受け入れる事はできないが、その論理的な部分は十分に共感できる。くだらない感情に振り回されるより、心の奥に潜む声に耳を傾け、感情に体に素直に身を任せれば、おのずと心は解放される。
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