つかれぐま

ハドソン川の奇跡のつかれぐまのレビュー・感想・評価

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)
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「墜落ではない着水だ」

旅客機のエンジンが故障。
管制塔は空港へ戻ることを指示するも、機長のとっさの判断で川に不時着水した実話ベース

本来なら乗客乗員の命が物語の軸になるところだが、あまりに有名な実話で、全員の無事が既に知られている。ならばと「機長の判断は正しかったのか=空港へ戻ることも出来たのでは」の切り口で持って行く上手さ。

古来より人々は英雄を求めるが、現代の英雄はその行為だけではなく、言葉で妥当性を説明しなきゃいかんのか、というイーストウッド御大ならではの諦観。まるで株主へのアカウンタビリティーのような「現代性」。

着水後の救出シーンに胸が熱くなる。
「ゴーストバスターズ」や「スパイダーマン2」にある、ニューヨーク団結シーンが好きなのだが、本作はその真打かな(実話の強み)。事故が遭った2009年のニューヨークならば、まだ9.11の悪夢が人々の記憶に残っていた時代。直接の描写はないがサリー機長の頭にもその記憶があり、それが咄嗟の判断に繋がったのではないかと。

残念なのは、機長に疑惑をかける国家当局の描き方。あまりに悪役&おバカ(人的要因にも気付けよ!)に見えてしまったのがちょっとね。