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アノマリサのTSのレビュー・感想・評価

アノマリサ(2015年製作の映画)
3.6
【どこか奇妙でリアルな人形劇】77点
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監督:デューク・ジョンソン/チャーリー・カウフマン
製作国:アメリカ
ジャンル:アニメ
収録時間:90分
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大人向けのストップモーションアニメ。実際の人形を動かして撮影しているため大変な労作だと思います。しかも人形の大きさもリカちゃん人形くらい。つまり、人形以外の置物とかはそれ以下の小ささであるため非常に繊細。ただし面白いかというと意見は大きくわかれるところ。淡々とした内容であるし、映さなくても良い箇所を映したりと長ったらしいので飽きてしまう人もいることでしょう。しかし、人形アニメでここまで「人間の日常動作」を描くのは素直に凄いなと思ってしまいました。

著名な主人公マイケルは、講演会を行うために飛行機に乗り、とあるホテルに泊まる。彼には周りの人の声が全て同じに聞こえてしまうのだが。。

この主人公マイケルはかなり人間らしい人物です。しかし、世の中に絶望している影響のせいか、周りの人の顔と声が全て自分と同じに見えるという現象に陥ります。女性なのにマイケルの声が聞こえてくるのも奇妙。その中で唯一彼とは違う声を発する人が出てくるのです。その人物こそがタイトルにもなっているリサなのです。
このアニメが何故大人向けかというと、子どもがおもしろいと思う要素がないという以上に、性行為のシーンがあるからでしょう。人形アニメなのに妙にリアルでして最早感心してしまうほど。しかもそのシーンが異様に長い。この異様に長いというのも今作の特徴の一つでもあります。小便をするシーン、冷蔵庫から飲み物を取り出し氷を入れ嗜むシーンなんて全て映す必要があるのでしょうか。普通映画ならばこのあたりはカットするでしょう。しかし、敢えてこのあたりは省かない。こうすることで、人形ですが疑いもなく彼らは人間なのだということを視聴者に教えれるのだと思います。故に性行為も良い意味で生々しくて人間味があるのです。

最後の日本人形の件にはびっくりしてしまいましたし、結局のところ謎めいたラストでもあります。どこが良かったとは言いにくい作品なのですが、あらゆる点で斬新であり、個人的には好きな部類の作品でした。
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