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リップヴァンウィンクルの花嫁のkunicoのレビュー・感想・評価

3.8
岩井俊二のボケが炸裂してる、だけどしっかり岩井ワールド全開のちょい毒ふんわり映画だった。

こ、これはギャグだ!と感じたのは、いきなりブッ込んできたアムロスタンプや裸焼酎。
こんなギャグにクラシックを乗せるんじゃないよ!と。
あれきっと劇場でも笑った人いたよね...?!

岩井ワールドと言いつつ、そっちの岩井映画だったかー!!と。
「花とアリス」ではない、「リリィシュシュのすべて」だ。
こんなに脆い世界観なのに、毒がすごい。
ドロドロしたものが入ってくるのに、何故美しいと感じさせることが出来るんだろう。

それには黒木華の演技も一役買っているはずだ。
少々くさく思える台詞も吐くが、基本守りたくなる系女子オーラをバリバリ発する地味で可憐な女子。
ベタすぎるくらいだよ、と思っている矢先登場するのがCocco。
まさか百合に転ぶ映画だとは1ミリも予想していなかったので、Coccoがそうくるなら華はそりゃまあそうなるか、という感じ。

ほんで綾野剛の胡散臭さはマックス値を超えてるわ。
永遠にナナミとアムロの間に絆は芽生えない。
油断も隙も死ぬ気で見せてはいけない相手だと、さすがのナナミも気付くべき。

そもそもネットからの人間関係を発展させられるのに、リアルな世界を生き抜けないナナミは私の感覚ではよく分からないな。
出会い系アプリを2週間で放置した私からするとそのマメな感じが偉いと思うし、え?てゆうか怖くないの?マジで?

人と人との繋がり方は今や多種多様になっていて、ナナミの様に一発で生きる世界を変えられる時もある。
そんな時代になったのか。
昔は本の落書きや往復書簡で恋愛を描いていた岩井俊二が、この複雑に入り組んだ社会をちょっとファニーに描いたらこんなんなりました〜ってことなのか。
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