「笑いと怖さが融合する怪作エンタメホラー」
「リング」の貞子と「呪怨」の加耶子、ジャパニーズホラーの2大巨頭を戦わせたらどうなるか、というある種のお祭り的ホラー。近年の貞子の扱いを顧みるに、怖さには全く期待してなかったが、ちゃんとホラーしている物語構成や演出には関心した。
ストーリーは中盤までは結構しっかりした構成で、貞子の呪いのビデオパート、加耶子の呪いの家パートをザッピングしながら進む。そして安藤政信演じる陰陽師が現れてからは呪いを解く方法に「化け物と化け物を戦わせて消滅させる」という聞いた段階でそんな上手く行くわけないだろと思わせる方法で2つのパートが混じるコトになる。
普通こういうホラーにはバックボーンもそれなりにあったりするもんだが、そういう語りも一切無く、ただ単に呪いから逃げるというシンプルな話になっているのも良い。呪いのビデオの死ぬ期限が7日から2日後に変更されてるのも、物語をスピーディにさせているのに一役買っている。
祈祷師の女性のかませぶりが凄い、なんで山本美月にもビンタするんだ、あんだけ入るなと言われてるのに呪いの家にノコノコ入るのか、盲目の少女の存在意義は何なのとかツッコミ(笑い)ドコロが満載の笑いと、それなりの怖さが見事にマッチしているエンタメホラーとして良作、いや怪作と言えるだろう。
----------ここからネタバレ---------
ラストは勿論決着付かず、貞子と加耶子が合体して終わるというまあある意味投げっぱなしエンド。人がバンバン死んでいって結局誰が生き残るんだと思ったら、何一つ解決していないままエンドロールに突入する様にはポカーンとなり乾いた笑いが生まれた。いやでも冷静に考えると、これこそ後味悪いホラーのあるべき姿かも。そういう意味では救いの無さという点でもちゃんとホラーしている。