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何者のTSのレビュー・感想・評価

何者(2016年製作の映画)
4.2
【リアルな就活とSNSの闇…】
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監督:三浦大輔
製作国:日本
ジャンル:?
収録時間:97分
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おそらく、今作を最も楽しめるというか満足する人というのは、最近の就活事情をある程度知りながら原作未読、ネタバレをほとんど喰らわずに観に行く人に限定されるでしょう。原作既読ならば衝撃度は文字どおり半減するでしょうし、就活やSNSのリアルをあまり知らない人からすると何の話かもあまりわからないかもしれません。

僕は大学院を出ているということもあり少し遅めの就活でしたが、最低限経験しましたし原作は未読でしたので存分に驚き今作を楽しめたと思っています。年齢層により評価が分かれそうな作品です。

就職活動をする大学生の二宮拓人。ルームシェアをしている神谷光太郎とその元カノ田名部瑞月。二宮の上の階に住む小早川理香と同棲している宮本隆良。この五人で理香の家を就活対策本部にして就活をしていくことになるのだが。。

それぞれ個性があり非常に面白いです。分析しまくる拓人、意識高い系理香、集団に捕らわれたくない隆良、自由な光太郎、中立的な瑞月。恐らく、冒頭の30分程を人事部の人に見せたらこの人とこの人が早く内定をもらえるだろうということはわかるのではないでしょうか?このあたりはネタバレになるので避けますが、就活してたらこんな人いるよね?と言わんばかりの人物たちばかりであります。
山田孝之はサワ先輩という名の院生として少し距離を置いた立場で登場します。それぞれ個性にあふれていて推理映画でも見ているようです。まずは普通に誰が一番最初に内定をもらうか、という気持ちで見れば良いと思います。そうするととんでもない衝撃を感じられるでしょう。

また今作ではSNSがかなり重要なポイントになってきます。特にツイッター。ツイッターは熟知しておかないとやはり恐ろしいですね。理香が放ったあの一言にある人物は動揺を隠せません。しかしそれが何故かというのは終盤までわからないようになっています。

今作は就活映画というイメージが強いですが、そんなことはありません。就活を通じて人間の怖さを伝える準ホラー映画だと思われます。もちろん全編を通して就活が基盤となっていますので最低限の知識はいります。マ○ナビ登録やwebテスト、サイレントやお祈りメールなどの説明は一切ないので、そのあたりを知ってから見ないとよくわからない箇所もあるかもしれません。リアルな就活とSNSの恐ろしさ、、高校生やこれから就活をする大学生が見るには一定の効果があるのではないでしょうか。

しかし、就活を終えた我々からするとそのあたりはやや物足りない。もっと、「あー、これあるあるだな」と思いたかったです。しかし良い意味で裏切られたのでこれはこれでアリなのだと思います。完全なる就活映画もまた見てみたいものですが。。
また、予告編の名言
「青春が終わり、人生がはじまる」
がほとんど生かされていなかったのが残念です。そんな泣けるやわい映画ではない。これはこれで満足しましたが、そのあたりを強調した映画もいつか登場してほしいなと思いました。

繰り返しになりますが、見る人によって評価が分かれそうです。ポイントはいかに今作の世界観に共感出来るかどうかです。特にSNSと就活の経験がある方が楽しめるかもしれません。

それにしても中田ヤスアキの「NANIMONO」は最高でした。主題歌としては個人的には今年度1.2位を争うくらいと思われます。
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