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KUBO/クボ 二本の弦の秘密のTaulのレビュー・感想・評価

KUBO/クボ 二本の弦の秘密(2016年製作の映画)
4.0
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』
吹替版鑑賞。どうやって撮ったかなんて気がすぐに吹っ飛ぶストップモーションアニメの完璧な世界。和の趣向を凝らした表現に魅力される。そして物語られるのはあの心の話し。名曲が流れるエンドクレジット中、涙が止まらない。驚きと懐かしさ溢れる奇跡的な映画だった。

『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』は最初の台詞で胸が高鳴り、少年の技の披露で完全に心掴まれた。これは物語についての話であり、人への想いを形にして甦らせる作品だと。そしてそれが日本の伝統的な語り口と、人形に魂を入れるというこの映画の作り自体と重なっていて、ますます惹かれた。

『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』は桃太郎といった日本の昔話や、浮世絵、NHK人形劇、黒澤作品やジブリなどのテイストを感じた。また時空を超えたSFの旅のような趣もあり、スターウォーズを初めて見た時の、どこか懐かしいんだけど、見たことのない世界が拡がる冒険ファンタジーの感覚も甦った。

『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』唐突で出来過ぎな展開もまさに絵巻物を見てるように感じた。そして終盤はテーマと素材が見事に重なって日本的な心の拠り所の話に。琴線に触れて弦の歌にむせび泣いた。メタ的で物語論の様相もあって、心の冒険として違った見方もできる味わい深い作品のように思う。
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