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KUBO/クボ 二本の弦の秘密のpepejaのネタバレレビュー・内容・結末

KUBO/クボ 二本の弦の秘密(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

折角なのでネタバレ無しにしたいものの、書きたいことがネタバレ過ぎて隠さざるを得ず。長いです。

ネットの好評を受けて字幕で見に行ってきた。平日夜、まあまあガラガラ。
でも面白かった。

ストップモーションがとても素晴らしく、気の遠くなるような作業時間を思うと、それだけで見る価値あり。
音楽もよい。エンディングはビートルズのカバーだったらしい、けど勉強不足で気付かず。その代わり、このコーラスは絶対にリベラだ!と思いながらエンドロールをにらみつけ、リベラの名前を見つけて小躍り。とてもよいです。

父を失い、母も失った主人公が、仇である祖父と叔母と戦うために3つの武具を求め旅をする、全体的にとてもわくわくする話。仲間を増やしていくRPGのような。同行の友人はゼルダを思い出したと言っており、敵の怪物などは確かに日本のゲームにも影響は受けているかもなあと。
敵対する叔母に村を焼かれ母とはぐれ追い出され、気付くとお守りとして肌身離さず持っていた猿の人形が実体化し、主人公を守る仲間になってくれるシーンは始まりを感じてぞくぞくした。
この猿が滅茶苦茶強い。そして凛としててカッコイイ。猿って昔話でも賢いイメージからか敵だったり意地悪だったりすることが多いので味方になってくれる超強い猿(しかも女性)、グッとくる。おすすめ。
途中で仲間に加わるクワガタ侍がまた良い味を出している。コメディ担当でホッとする。弓の名手で強く、色味は黒いし動きがなかなかにカサカサしてるので若干アレではあるが和むしかわいい。おすすめ。
更に徐々に猿とクワガタのラブストーリーが始まるので余りにも異種間過ぎて何が起きてるのかパニックになる。おすすめ。

まぁ、最終的にその全てに意味があったのではありますが。

モチーフの三味線、何故タイトルが二本の弦(本当は糸、と言うそう)なのか、成る程、と思うし感動する。
思い出の力の強さ、家族愛の強さ、少しほろりと来てしまった。
が。
最後ラスボス祖父が出てきた辺りから頭にはてなが増えていく。主人公の眼を欲しがっていたのは天上の国(ここからしてよくわからない。月の帝では無かったのだっけ)で不老不死のまま家族全員で暮らしたいから、という理由。うん?なんでそんなに死を恐れているんだ?なんで娘たちに人間を襲わせてたんだ?寧ろおじいちゃんが不老不死とかいつ出てきた話だ?影も形もないおばあちゃんが関係してるのか?
深海魚みたいな元祖父のクリーチャーとバトルし始めた辺りで頭が停止。そして自分と村のみんなの家族を想う力で主人公が勝つとそこには記憶を失った浦島太郎状態の祖父。に、なんの示し合わせも無しにお前は良い奴だったと物語を植え付けていく村人たち。察しが良過ぎる、忖度レベル高い。
最終的に家族間の争いだったんだねえと友人がこぼすのを聞いて確かにな、と。壮大な家族喧嘩と言えば、まあそこまでなのではあるが。

というわけで最後がなあ、という印象。
旅の始まりがとてもわくわくしただけにだんだんテンションが落ちてきてしまった感があるのが残念、でも見てよかったです。

あと、これは日本じゃないっていう意見はよく分かる、分かるけどでもとても良く勉強してくれてるなあと私は思った。
10年ほど前アメリカに行った時博物館で、真っ赤な中華街の門に金色の額で日本、と書かれた日本コーナーを見て絶句したのに比べたら感涙レベル。お墓まいり、お盆の描写、精霊流しの美しいこと。
まあ、阿波踊りの格好で炭坑節踊るシーンがあって吹き出したけども。
少なくともあの世界は三池炭鉱がある時代背景のようだ。

エンドロールには大変な製作現場の記録シーンがあるのでお見逃しなく。
色々あるけど一見の価値あり、と思います。
最後に、ハンゾウ、とか日本らしい名前もつけられるくせに主人公の下の名前がクボなのはやっぱり違和感があるなあと。
製作陣に「これって主人公のファーストネームがマッカートニーみたいなもんなんだけど大丈夫?」って言ってあげる日本の方はいらっしゃらなかったのだろうか…
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