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KUBO/クボ 二本の弦の秘密のぴのしたのレビュー・感想・評価

KUBO/クボ 二本の弦の秘密(2016年製作の映画)
3.8
日本を舞台にした超絶ストップモーションアニメ。

主人公のクボは三味線を弾くことで折り紙を自在に操れる魔法を持っていた。ある時悪い魔女の姉妹に母親が殺されてしまい、言葉を喋るサルと、クワガタにされてしまったサムライと共に放浪の旅に出る。

この映画とにかくストップモーションが凄すぎて、驚くほど画面が綺麗なのと動きが滑らかなのに魅了される。とくに冒頭のクボが三味線を弾いて折り紙を操りながら人々に物語を語るシーンや、折り紙を使ったアクションシーンは本当にカッコよくて、三味線の旋律と相まって痺れた。サルの戦闘シーンもむっちゃカッコいい。

闇の姉妹の不気味な感じとか、結局両親が殺されてしまう救いのなさとか、ダーティな世界観も魅力。

ただ必死で集めた武具を刀以外ほとんど使わないなど話の構想が少し荒いのと、ところどころ見えるなんちゃって日本感(クボというあからさまに苗字っぽい名前とか、あからさまなクワガタの絵が描かれている家紋とか)は気になった。

あと映像が滑らかすぎて、注意して見ないとストップモーションの動きを感じにくかった。今どきピクサーでも実写と見分けがつかないレベルのCG使うし、ストップモーションならではの映像の綺麗さもそこまで新鮮に思えず。もっと動きをカクカクにしてストップモーション感を出した方が味が出たのでは。

灯籠流しとかサギの歌声とか、死んでも大切な人は思い出としてずっと生き続けるという日本らしい死生観がテーマになっていたのは良かった。そこまで深く日本文化を勉強してたのにどうして名前をクボにしてしまったのかが謎。

上映期間の終わりギリギリの日の朝一で映画館に行ったら、まさかの自分以外誰も観客がいなくてビビった。スクリーン貸切で1500円だと思うとかなりお得だけど、広い空間に1人って落ち着かんね。