ぴのした

神様メールのぴのしたのレビュー・感想・評価

神様メール(2015年製作の映画)
3.8
あー好き!ヨーロッパ映画の良いところを詰め合わせたような映画!好き!

神は実在し、ブリュッセルに住んでいる。しかしその神はろくでもなくて、PCごしに人々の運命をもてあそんでいつも人々を困らせて楽しんでいる。神の娘エアはそんな父を懲らしめようと、人々に自分自身の寿命を書いたメールを送り、エアは人間を救うために神のアパートから抜け出して下界におりるのだが…。

まず設定が面白いよね。ファンタジーな設定なのに、神と言ってもマイティ・ソーみたいな「ザ・神!」って感じでは全然なくて、神は普通のおっさんだし、神の住む家も普通のアパートみたいで生活感が丸出しで、妙に間が抜けている空気感が面白い。

かと言ってコメディに全振りって感じでもない。ヨーロッパ映画だから基本は静かなで美しいカットが続くんだよ。北極に舞う鳥を指揮するサラリーマンのシーンとか映像自体もすごくきれいで絵になるし、左右対称的なカットや、柱を通り抜けると季節や遠近感が変わるような面白みのあるカメラワークとかもすごく見ていて楽しい。

でもその静かな雰囲気の中に、面白いシーンを真面目な顔で次々にブッ込んでくるからまた面白いんだなあ。

そして何より音楽が最高!きれいな映像とシンクロするクラシックから、クライマックスには郷愁あふれるベルギーの作曲家の音楽、エアとウィリーが仲良く踊るシーンでは最高にかっこよくて刹那的なダンスナンバーまで、幅広いジャンルからその場面に合った最高の音楽が流れる。エアが人それぞれが持っている心の音楽を聞く力があるっていう設定も良い。

この最高の映像と最高の音楽のダブルパンチがこの映画一番の見どころでしょう。

個人的には観客に向かって登場人物が話しかけたり、話の中に回想や比喩が出てくると、チラッとそのシーンを映像にも入れてくれるタイプの演出(ウェスアンダーソンとかジャンピエールジュネがやりがちなやつ)が大好きなのでそこもかなり良かった。

ヨーロッパ映画のあの雰囲気と綺麗な映像が好きで、ファンタジー要素があっても許せる人なら一見の価値ありです。