みかぽん

ダンケルクのみかぽんのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
4.0
独特の映像と、それに重なる重低音の音楽がジワジワ効く感じで物語に引き込まれて行く。静かな浜辺に大勢の避難兵が集まり、迎えの船がドーバーを渡ってやって来るのを待っているのだけど、海を出ると海中にはU-boat、空にはメッサーシュミットが突如ワーンとやって来てばんばん打ち込んでくるという、静かな浜辺や海上にそれが唐突に現れる感じがホントに怖い。

ストーリーは短い群像劇の集合体が最後に重なる感じで、これまた若干の唐突感があったりはするのだけど、だからこそ傍観の我々がその時代にぽーんと放り込まれる戸惑いと重なり、逆にリアルだったな。

これは撤退と救出の史劇なのだけど、8月のNHKの終戦特集で、3万人が見殺しとなったインパール作戦撤退の放送の記憶がまだ鮮明だったので、一方のダンケルクでは海の向こうで同胞を待つ民間人が船を出して兵士を迎えに行った事実があり、そして先ずは負傷兵から戻そうとする、また爆撃機には帰還用の燃料は必ず残すように指示を出す軍の姿勢もあってと、非常事態にあっても民主主義がきちんと機能しているこれらの姿に感動すると共に、一転、当たり前のように取り残され、置き去りにされ死んで行った日本兵の無念さを思い返し、再び涙してしまった。
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