ルイまる子

ダンケルクのルイまる子のレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
4.2
面白かった!始まって僅か3分で引き込まれる映画なんて滅多にあるものじゃない。その点でもクリストファー・ノーランは流石だと思う。港から担架を持って走る二等兵二人、船内に滑り込んだ若者二人と同時に視聴者を今から始まる恐怖の坩堝に一緒に連れて行ってくれたわけだ。既存の戦争映画とは全く違っている。単純に描きたかったのは、この史実の凄まじさ。それを体感させる、それだけ。ドーバー海峡に面した港ダンケルクからイギリスまで残された英国兵士40万人の命を救出すべく、ただ船でダンケルクからイギリスの港に辿り着くまでの話だ。勿論ストーリーもないし、目立った登場人物もない、複数の見たこともない俳優達が演じるが、一人一人が自分の様にも感じる。善悪を問う様な表現もない。少しはあってもそれが何か大それた教訓のようなものじゃない、多分ノーランはある程度感情を入れないと視聴者の共感が得れないから少しつけた足した程度のもの。愛国心やら(多少イギリス万歳!的なものはあるがハリウッド映画のそれの様なアメリカはすごい!という映画じゃない)。映像が素晴らしいカメラワークが素晴らしいドキドキする、それに集約されていた。勿論そのドキドキやハラハラや自分もあの船に乗ってる皆が一体になり死にそうな感情に浸らせることで反戦的なメッセージは受けるだろう、しかしそれを狙っているわけでもないだろう。

【ネタバレあり】

イギリス軍の船と民間船、旅客船?(というか自分の主義?でその短い航路を自分が所有するボートで渡り救出のお手伝いを自らしている一般人の親子?)がいるのですが、これがわかりにくい。なんでこんな平和な顔して平和なナリして、(なんかチェックのシャツにニットのベストとか、海老茶色のセーター着てのほほんと)周り凄まじい戦争の中悠々と遊覧船に乗ってる。一体上から下からドイツ軍に爆撃されてる中、まるで自分らは攻撃されないからって(一般人は勿論攻撃対象じゃないから悠々としてられるんだろうな、とは見てるうちにわかったが)、一体この人達はなんなん?と思いながら見てました。そのうち兄弟の弟?の方が途中に乗っかってきた兵士とのいざこざで階段から落ちて頭を打ちその手当てもどうにもならず死んでしまうが、その兵士が、後で弟が死んだ事知らず、大丈夫か?と訊いてきたが、親子は死んだとは言わず大丈夫だと答えた、その後目配せする。。。。この件もわかんねーーーー!!!笑

恐らく、戦争とは誰を責める事でもない、誰が悪いでもない。誰が死のう生きようと皆が被害者だと言いたいんだろうが、イギリスが悪いと言った所もあるし、ドイツ人のスパイだと責められてた男が実はフランス人だったというオチもあるが、なんか隣の弱い国だ、でもしょうがない助けてやるか、という感じもあったが、これもただなんか小さく入れているだけ。多分大して何かを言いたいわけでもないんだろうけど、まるっきり理系映画の中にこんな感情表現をちょっと挟むから何か意味があるのかと深読みしてしまう。多分何もないんだろう笑

今までの戦争映画とは全く違う理系映画だ。多分ノーラン監督は日本のシュミレーション映画、「シンゴジラ」を見てインスパイアされ作ったのだろう(単なる想像)。

【追記】民間船で🚢救出に来た一般人については勘違いなコメントを書きすみません。立派な勇気ある一般市民として描かれていたこと皆さんと同じ様に見ていなかったようでお恥ずかしい。
ルイまる子

ルイまる子