TERUTERU

ダンケルクのTERUTERUのレビュー・感想・評価

ダンケルク(2017年製作の映画)
3.9

[Dunkirk/ダンケルク]


 今から時間は遡る…
 時は1940年第二次世界大戦の真っただ中ヨーロッパ戦線に起きた「ダイナモ作戦」。
「独」対「英と仏」戦線布告をしたのは「英と仏」、だがあまりにも敵の戦力に差があった。そして地上や上空から攻めてくる「独」に背後を遮断追い詰められ舞台は海峡沿岸へ。そして始まる地獄の撤退作戦発動、その戦火の舞台の名を...

"ーダンケルクー”

 背後は敵陣、前方は敵影、逃げ場なく立ち止まることなどできない生と死のはざまの作戦に着実と時間が迫る。誰もが予想もしなかった後の「奇跡」と呼ばれた史上最大の撤退劇へ、

生死をわけた3つの秒針が動き出す。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 クリストファー・ノーラン祭り第2弾!『TENET』の上映を先駆けまたもやあの監督の作品が劇場に蘇る!前回が『ダークナイト』に続き今回はー
ー『ダンケルク』ー
奇跡の実話をもとにC・ノーラン流に描かれる戦争は最新撮影技法により今までに見たことのないような場面がスクリーン上に映し出される。中でも印象的なのは海面と甲板に兵士が挟まれるシーン。平衡感覚がおかしくなりそうだ。沈む船に海面へ逃げ込む兵士、沈んで行く船が横にたたきつける時、海面に浮かぶ兵士を下敷きに飲み込む瞬間は想像以上に鳥肌が立つ。その瞬間の場面は恐ろしい出来栄えだ。まるであたかも実際に起きたらこんな風に見えると言っているかの様に。

 とにかく映像美と撮影の映し方が素晴らしく、C・ノーラン監督こだわりがこの上なく感じる今作。ただ一つ言えばこの映画では誰の目線で物語が動いているかわからない。メインの人物がいないのだろう。主人公は防波堤側で撤退をする若い兵士「トミー」でもなく、民間でありながらも自ら戦争の海へ舵を取りダンケルクを目指す「ミスター・ドーソン」またはその息子「ピーター」でもない。空で撤退作戦を援護するスピット・ファイアを操る「ファリア」でも「コリンズ」でもない。
 ではだれが?おそらくこの物語すべてを主人公メインとでも言いたいのだろう。人のストーリーに着目するのではなくこの鳴り響く様々な戦争の「音」、映し出されるリアルに再現された「映像」を、爆撃で吹き飛ぶ人間や飛び交う銃撃に戸惑う兵士たちのこの瞬間を観てほしいのだろう。戦場の恐ろしさを。「音」と「映像」には誰も文句の言いようのないくらい出来栄え。いつのまにか戦場にのめり込まされているようだ。おそらく冒頭の時点だろう。戦争の恐ろしい部分が多く映されている。見えない敵からの突然音だけが鳴り響く脅威。次の瞬間には自分が吹き飛ぶのではという迫りくる恐怖の中で見えない希望に命を捧ぐ戦場であなたは平然とあの地に立つことができるのか。きっと怯えてうずくまるので精一杯だろう。。。私も。

 そしてC・ノーラン監督と言えば「時間」を駆使した作品が持ち味。今作も素晴らしいのだが説明される事がないので気付かない人もいたりして。陸海空が同時進行に進んでいく物語、だがこの3点はどれも時間はバラバラなのである。1週間、1日、1時間と撤退するまでの起点の時間は違うのだが、終盤へ引き込まれていくかのように物語は同じ時間軸に繋がっていく。
 登場人物たちの始まりにずれがあるとしても。幾人の物語は同じ終着点だとすると誰の物語がいつスタートしようが結末は同じ時間。長かった者もいれば短い者も、たどり着けない者もいるのだろう。この断片に分かれた物語が繋がる時1つの大きな物語が生まれる。1人の人物の物語ではなく、時代をも揺るがす名を遺す程の物語となることを後世へ語り継がれるのであろう。


C・ノーラン祭り第2弾『ダンケルク』。実話をベースに作られた今作はノーラン監督により今までにないような映像体験の戦争をテーマにした映画。だが監督いわく「この作品は戦争映画ではない」と。戦争から撤退する生き残る兵士を助ける為立ち上がる母国のイギリス国民の「ダンケルク・スピリット」がこの映画の魅力的な所なのだ。
迎えに来てくれる人がいるというのは良いね!なんとも暖かい気持ちが伝わってくる最後のシーンでした。それに最後の戦闘機の“スピットファイア”はとてもカッコよかった!そのスピットファイアの事で知ってるかな?C・ノーラン監督の映画で『ダークナイト』のバットマンシリーズで登場したアルフレッド役の“マイケル・ケイン”はC.ノーランとは仲が良く色んな作品に共演しているがこの『ダンケルク』でも登場してるんだって。どこで?って思うけど、なんとあのスピットファイアの隊長役の声を担当していたんだって。たしかに声だけで顔は出てなかったからわからなかったけど知った時は驚いたwもう一回聴かせて!

さて、次回はC.ノーラン祭り第3弾が決まった『インセプション』SFアクションの超大作!はやく『TENET』公開日へ寝て起きたら上映日になって欲しい気持ち!それもいいが、まずは夢の中の世界『インセプション』でまたお会いましょう、いってらっしゃい👋


2020/No.R027
TERUTERU

TERUTERU