フライ

スノーマン 雪闇の殺人鬼のフライのレビュー・感想・評価

スノーマン 雪闇の殺人鬼(2017年製作の映画)
3.8
女性のエグい所を着いたサスペンススリラー。キャスティングの素晴らしさや北欧作品らしい暗く重厚なストーリーなど面白くなる要素がかなりあっただけに、色々な所が勿体無いと感じた作品。

ノルウェーの雪に覆われ人里離れた地で住む母親と少年。たまに来る警察官の男性は、瓦斯や食料を届けるなど優しい顔とは裏腹に、母親に暴力を振るう強権的な一面も。少年は男性に好かれたい思いで雪だるまを作り見せようと、母親と男性のいる部屋に行くと、ベットで母親が 少年の父親である事を男性の妻に告げると脅し、男性は怒って家を飛び出す。車で追う母親と同乗する少年は、途中で諦めハンドルから手を離し凍った湖に車で侵入し氷が割れ始める。逃げようとする少年の言葉も聞かず母親はそのまま少年の見ている前で入水自殺してしまう。
現在、数十年後のノルウェー、オスロでマイケル・ファスベンダーが演じる昔優秀だったが、アル中で妻と別れたハリー刑事は、酔って1週間、無断で仕事を休み上司からも庇いきれないと告げられる。そんなハリーのいる警察署に転任してきた女性失踪未解決事件を追うレベッカ・ファーガソンが演じるカトリーネが、ハリーと組み捜査する様に伝えられた日、夫と幼い子供のいる女性が突然失踪し、二人が捜査する事になるのだが、その家の前には気味の悪い雪だるまが。更にカトリーネが追う数年前に起きた事件とも複雑に交錯していく。

少年が犯人であろう事は誰が見ても分かるのだが、その少年が誰なのか、若干伏線の甘さからか早い段階で犯人に目星が着いてしまうのは少し残念だった。それでも何故女性を狙うのか?共通項やいきさつ、更には別の容疑者への匂わせや巧妙な伏線、色々な人物との繋がりなどサスペンスとしての面白さは素晴らしかった。そこに豪華なキャスト陣も作品を盛り上げていて楽しめたし、特にレベッカ・ファーガソンの美しさからは目が離せなかった。
女性を残酷に切り刻む凄惨な事件と、ノルウェーの美しい景色との対比、北欧作品らしい重苦しいストーリーともマッチしていてとても良かった。そして終盤の予想に反した残酷な展開に作品としての面白さを一層感じさせてくれたのもある意味好感が持てた。ただ色々なシーンの説明の甘さと言うか、展開に分からない所があり、繋がりに強引なシーンも幾つかあったのはとても残念だった。更にラスト盛り上がっていたのに、最後の最後が余りにも安直で勿体無い様にも…

個人的には凄く好きな世界観と、ストーリーだが、平均スコア見て分かる通り、誰にでも進められる作品では無いのも事実。もし鑑賞するなら登場人物の名前や、過去と現在が交錯するストーリーと人物の繋がりなどしっかりと頭に入れ、整理しながら観る事をおすすめします。簡単に言うと集中出来ない状況なら観ない方がいい作品。
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