マルメラ

シング・ストリート 未来へのうたのマルメラのレビュー・感想・評価

4.4

久々の投稿です。
評判が高い割に上映館が少なく
渋谷か〜。面倒くさいなぁ〜と行くのを躊躇っていたが、重い腰を上げてシネクイントにて鑑賞。

結論から言うと。
最高!!今年ベスト級!!!

まず、圧倒的な音楽の良さ。
サントラ購入必須でしょ!!
この映画見たらサントラ聴きたくなるでしょ!!

次にTHE 青春映画!!
個人的に外国の青春映画が大好きなので、それも高評価のポイント。
「ウォールフラワー」以来の衝撃。

観てない方は是非映画館に行ってください!!
映画館だからこそ体験できる音楽に包み込まれる感じを味わって欲しい!!

中身に移ります。
主人公の家庭の問題。学校でのボッチ。片思いの女性。
これら全ての問題を解決するのが音楽なんです。

音楽が良すぎて、音楽映画。バンド映画のように思われがちですが。
あくまでもジャンルは青春映画。

不仲の親、経済的な理由からの急な転校。
そんな中でも、主人公を救っていたのは音楽。

親のケンカが始まり、家にいたくなくて、友達の家に押しかけて曲作りをしたり。
親のケンカの声をかき消すように、兄貴の部屋で音楽を流して兄弟で踊ったり。
音楽に没頭している時間だけ、彼は嫌なことを忘れられる。

物語中盤まで、彼は音楽に助けられる側の人間だった。

そして、物語終盤。
主人公の音楽がヒロインを助ける。
つまり、彼は音楽で人を助ける側の人間になった訳です。
主体を変えることで成長を描くというのは上手い!!

あと、やっぱり兄貴の良さ!!
最後のシーンなんて号泣もの。
弟の巣立ちを嬉しくも思う反面、自分は一歩踏み出すことのできない辛さ。
それでも大好きな弟への、精一杯の愛情表現のぎこちないハグ。
弟が旅立って行き、誰にも見られていないところでの「YES!!」。
あんた、最高の兄貴だよT_T

あと、ウサギ大好き楽器少年。
あいついい味出してるわー。
主役より好きかも笑

ラストなんですが。
色々な方のレビューを見て、賛否が分かれていたので、自分なりの解釈を語りますね。

まずバンドはどうした問題。
結局女か!!!と思わざるを得ない結末。
ここはなぁ〜。微妙だなぁ〜。
と自分も思いました。
あの、仲間達はどうするんだい!と。

例えば、校長に「覚えてろよ!絶対に2度とお前らの活動を認めないからな!」とか言わせてギグをラストライブにするなら分かるんだけど。

次に、船出。
小型ボートでいきなり大型船が目の前に。
ここ、個人的に大好きなんです!!
つまり、彼は海に出た訳です。
ダブリンから外に飛び出した。
そしたら、大きな壁のように大型船が現れる。
これは、彼らのこれからを表しているように思うんです。
狭い世界で岸から見ていた大型船も、いざ飛び込んでみるとこんなにも大きなものなのかと。

そして、彼らは大型船の後を追うように船を進める。
ここも上手い!!!
つまり、彼が今までやっていたのは、コピーバンドとオリジナルの狭間。
宿題から影響を受けて、こんな曲を作ってみようで作った曲。
つまりは大型船の後を追っていただけ。

それを映像で表現すると共に、あくまでも過去の偉大なミュージシャン(大型船)へのリスペクトでもあると思うんです。
あなた達は大型船のように偉大でした。と言わんばかりに。

高校生のガキンチョとヒロインが、大海原に飛び出して上手くいくのか。
きっと上手くいく訳はない。
でも、前へ進むんだという意思もここで表していて、落涙もの。
ラストの曲ともピッタリでした。

あと、メンバー集めとか諸々ご都合主義っぽいという意見も拝見しました。
確かに、御都合主義といえばそうかもしれません。
メンバー集めに関しては、微塵も苦労をせずに上手くいき。
楽器も全て持っている最強のメガネ君もいましたし。
でも、主人公が乗り越えるべき壁は、そこではなく。
自分の置かれている環境な訳です。
なので、確かにメンバー集めに障害を与えるのは必要のようにも思えるのですが。
それは主人公が本当に乗り越えるべき壁ではないのかなと。

一番自分がもうちょっと!!と思ったのは、メンバーの個性です。
ピアニストの黒人とベースとドラム。
こいつらの個性が無い!!
ステレオタイプ的でもいいから、何かしら個性を出してあげて欲しかった。

まぁメインは主人公とヒロインの恋愛なので、わざとカットしたのかもしれませんが。

80sに産まれていなかった自分でも楽しめた。
おじさん世代にはおじさん世代の。
自分のような平成生まれには平成生まれなりの良さがこの映画にはあり。
どの世代にも普遍的な青春映画の要素もある。

でも、80sに生きていたら、この映画の楽しさは倍以上になってたんだろうな。

あと、昔バンドやってました。みたいな人は楽しいんだろうな。
自分は蹴鞠に青春を捧げてしまったので笑

おすすめです!!

まだまだ、語り尽くしきれねぇ!!!
マルメラ

マルメラ