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ダゲレオタイプの女のbowcatのレビュー・感想・評価

ダゲレオタイプの女(2016年製作の映画)
4.3
フランス映画ですけど黒沢清監督
オリヴィエ・グルメ
マチュー・アルマリックという
フランスの有名俳優を配するなんて
監督が認められている証ですね

坂本龍馬や幕末志士の写真より
も少し前のダゲレオタイプという
20分くらいじっとしていなければ
写真ができないという大変な方式
その写真を今も撮り続けているステファン
そこに助手としてやって来たのがジャン
彼はステファンの娘マリーに恋をする

ダゲレオタイプはただの写真ではない
その時間の空気さえも閉じ込めるとステファンは言う
なんかデジタルCDとアナログレコードの違いのよう
確かにレコードには空気感が残っていると思う

ステファンは首を吊って妻が亡くなってから
人生の指針を失っている
そんなある日、ステファンに亡き妻の亡霊が見え
そして可愛い娘マリーも階段から転げ落ちてしまう

ジャンはマリーを車で病院へと急ぐが途中
車のドアから落ちてしまったマリー
すぐに見つかったが、傷も消えて元気になっていて…

もう3連続で摩訶不思議な異世界線です😆
何回も言うけど、その境界線はナゾです
でもあるんです

20分以上動かない写真のモデル
それは魂が抜け落ちているかのような姿
マリーも時おりモデルになり拘束される
自分の世界へ羽ばたきたい彼女
それを妨げる、寂しき父親
ある意味、自由になることをマリーは選んだのか?

ダゲレオに永遠に姿を残すと言うことは
ダゲレオに永遠に閉じ込められること


マリー演じるコンスタンス・ルソーさん
儚く美しい雰囲気で魅了されました
黒沢清監督、フランス映画でも素敵でした
悲しきかな男は過去に囚われ生きる

死の間際にいる人間にとって
死は “まぼろし”
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